研究課題/領域番号 |
20K18984
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
小林 智哉 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 客員研究員 (30603245)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 死亡時画像診断 / オートプシーイメージング / 死後CT / 画像加算 |
研究実績の概要 |
①初期経験として、死後CTの同部位複数回撮影による画像加算処理(fused CT)を用いた症例の有効性を報告した。このなかで、成人の心臓、小児の頚部を対象とし、fused CTで画像コントラストが改善し、構造把握が容易になったと報告した。 ②fused CTによる画質改善の特性を知るため、ファントム実験で画像の物理評価を行った。この結果により、加算回数が増加しても鮮鋭度には影響せず、ノイズ改善は加算回数10回程度以上で安定することがわかった。 ③筑波剖検センターのCT装置(16列マルチスライスCT)と比較して高性能なCT装置装置(320列マルチスライスCT)にて、水ファントムと冠状動脈を模したファントムを用いてfused CTの画像を評価した。高分解能再構成法にfused CTを用いることで、高分解能を保ちつつノイズが改善し、血液就下の描出が可能であった。 ④本研究を検証している過程で死後CT特有のアーチファクトを発見した。このアーチファクトはこれまでに報告がなく、新たに「Star-trail artifact」と命名した。アーチファクト発生原因として当初は、検出器に照射されるX線量が過剰であることが考えられた。しかし、fused CTで1回のX線量を分割して撮影してもアーチファクトが不変であったことから、X線量の過剰照射の可能性を否定することができた。 上記の成果はそれぞれ英語論文化されており、小児頚部症例の報告のみ査読返信待ちの状態である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定されていた、画質の物理評価、視覚評価をおおむね終え、順調に論文発表として報告している。さらに詳細な撮影条件の検証と撮影条件の最適化は、症例を撮影しつつ検討する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はご遺体にfused CTを適応しながら、さらに詳細な撮影条件や画像処理の最適化を進めつつ、有用性の高い症例を検証する予定である。また、初年度に検討されなかった撮影条件や加算処理の重み付けについても、それぞれのご遺体の状態から得られる画像所見で検証する予定である。これまで同様に論文投稿を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、国内外の学会が中止あるいはオンライン開催となり、渡航費、学会参加費が使用できなかった。 国内外の学会でオンライン開催が増えたため、予定していなかった学会にもオンライン参加し、COVID-19感染拡大状況が収束した後に現地参加を予定している。
|