看護師にとっての働きやすい職場は、看護師個々の離職防止につながり、看護の質向上に直結する。近年の働き方改革推進や「ヘルシーワークプレイス」概念の普及などを追い風とし、看護職者の働きやすい職場づくりに向けた関心は高まる一方である。 これまで病院に就業するスタッフ看護師に焦点を当て、その「働きやすさ」を解明した先行研究は存在するが、看護師長に焦点を当て、その「働きやすさ」の全容を解明した研究は存在しない。看護師長にとっての働きやすい職場をつくることは、看護管理者としての役割遂行を促進し、所属看護単位の看護の質を向上するという観点より重要な課題であり、そのためにはまず、看護師長の「働きやすさ」への理解が不可欠である。そこで、看護師長の「働きやすさ」「働きにくさ」を解明するとともに「働きやすさ」を評価する尺度の開発を目指して研究に着手した。 研究目的の達成に向け2022年度は、データ収集を行うとともに分析に向けた準備を行った。具体的には、まず、本調査に先立ちパイロット調査を行った。パイロット調査を通して得られた回答内容を検討し質問紙を修正した。次に、修正した質問紙を用いて本調査を実施した。全国の病院350施設へ研究協力を依頼し、承諾を得た78病院に対し質問紙487部を発送し、175部が返送された(回収率:35.9%)。パイロット調査と本調査を通して合計210部の有効回答が収集された。しかし、本研究の質的分析結果を産出するために目標とする300部に至っておらず、追加でのデータ収集を行う必要性が生じた。一方、研究代表者の所属が指定の「研究機関」と異なる組織へと変更となり、資格喪失のため当初の計画に沿った研究継続が困難となった。
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