研究課題/領域番号 |
20K19000
|
研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
吉岡 詠美 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (90790957)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 看護師 / 倫理的行動 / 看護倫理 |
研究実績の概要 |
本研究は、看護師が倫理的な看護実践を行う上で重要となる倫理的行動獲得メカニズムの精緻化によって、クリニカルラダーレベルに合わせた看護師の倫理的行動の向上を目指した科学的かつ効果的な組織的人材育成の方策を検討することを目的としている。 2020年度は、看護師の倫理的行動獲得モデルを精緻化するためにインタビュー調査を行い、修正版グラウンデッドセオリーアプローチ法で分析した。その結果、病棟看護師が倫理的行動を獲得するプロセスには3つの段階があり,第1段階は倫理的行動の前提条件として【倫理に関する学習の機会】【倫理的問題に遭遇する機会】、第2段階は倫理的行動として【違和感の認識】【倫理的問題の判断】【倫理的問題を解決するための実践】【倫理的行動の内省】、第3段階は倫理的行動の帰結として【看護実践の質の向上】【看護専門職としての自律性の向上】が抽出された。これらの各段階には、【職場風土】が影響していた。今後、看護管理者が看護師に対して、この3つの段階および影響要因に焦点をあてた支援を行う必要性が示唆された。 今年度の研究成果は、2021年5月に開催される日本看護倫理学会第14回年次大会で「看護師が倫理的行動を獲得するプロセス」を発表する予定である。また、現在は論文にまとめ、投稿する準備をすすめている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に予定していた看護師の倫理的行動の獲得メカニズムの精緻化に関する研究は、予定通り終了し、学会発表を予定している。現在は、2021年度に尺度開発を行うために、本メカニズムを基盤とした尺度原案を作成中である。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は2つの研究を予定している。1つは尺度開発である。2020年度に行った質的研究を基盤に尺度原案を作成し、看護師500名を対象にアンケート調査を行う。その結果を分析し、尺度を開発する予定である。 2つめは看護師の倫理的行動の行動基準と関連要因を検証することである。開発した尺度等を用いて、看護師1500名を対象にアンケート調査を行う。その結果を分析し、看護師の倫理的行動の各ラダーレベルに合わせた行動基準と関連要因を明らかにし、効果的かつ効率的な組織支援を提示する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、2点ある。1点が、今年度、学会参加を予定していたが、学会がオンラインに変更になり、旅費がかからなかったことである。2点目は、今年度はインタビューのデータ入力を委託する予定で考えていたが、データ入力を自ら行ったため、人件費がかからなかったことである。 次年度は、アンケート調査を行う予定であるため、必要な物品(コピー用紙、封筒、USB, ソフトなど)の購入やデータ入力などの人件費に使用していきたいと考えている。
|