本研究は、看護大学生の臨地実習指導者に対する援助要請行動に関する尺度(以下、援助要請尺度)を開発し、その信頼性と妥当性ならびにその有用性を検証することを目的とした。 3段階より研究を実施した。 第1段階:「看護大学生の実習指導者に対する援助要請の促進要因」の研究を基盤とし、看護師免許を持つ看護学研究者22名、尺度活用者と同じ母集団の学生10名から意見や助言を得て質問項目を作成した。 第2段階:質問紙調査により援助要請尺度の信頼性、妥当性の検証をした。第1調査は、尺度の構成概念妥当性、基準関連妥当性、内的整合性の検討を目的とし、実施した。11都道府県の看護系大学の3、4年次生2120名を対象とした。質問項目は対象者の属性、援助要請尺度、援助要請スタイル尺度であった。収集したデータを用い、探索的因子分析と確認的因子分析によるモデルの適合度から構成概念妥当性、クロンバックα信頼性係数の算出による内的整合性、援助要請スタイル尺度との相関による基準関連妥当性を検討した。第2調査は、尺度の再現性の検討を目的とし、実施した。便宜的に抽出した2看護系大学の375名を対象とした。質問項目は対象者の属性、援助要請尺度であり、2回の回答を依頼した。2回目の回答は、1回目の回答から2週間あけ回答することにした。収集したデータを用い、1回目と2回目の援助要請尺度の下位因子および尺度総得点の級内相関係数による再現性の検討をした。項目分析と探索的因子分析により、「非要請コストの自覚」と「被援助利益の自覚」の2因子8質問項目を抽出された。内容に基づき、尺度名を「看護大学生の臨地実習指導者に対する援助要請の意思決定尺度」に修正した。本尺度の一定の妥当性、信頼性が確保されていることが確認できた。 第3段階:看護学実習開始前・終了後の尺度の回答とインタビューにより有用性の検証をした。結果を論文として投稿する段階にある。
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