研究実績の概要 |
急性期病棟の夜間帯における、認知症非合併患者と認知症合併患者を同時に看護する看護師の対応と苦悩についての量的検証と関連要因を抽出することを目的として、全国の急性期病院を無作為抽出で200施設選定し、急性期病棟に勤務する臨床経験5年目以上の看護師2000名を対象にアンケート調査を実施した。基本属性、先行文献4編(谷口,2006;小山,2013;千葉,2016;川村,2020)から作成した対応と苦悩についての54の質問項目と関連要因について自由記載で回答を求めた。回収率は10.6%、有効回答率9.7%であった。認知症非合併患者と認知症合併患者のニーズが最も複雑化する【認知症非合併患者は状態悪化し生命のリスクに瀕しており、認知症合併患者は認知症状悪化し転倒リスクに瀕している者もいる】という状況下で看護(担当)した経験について、「よくある」「時々ある」と回答した者は71.1%であった。「対応できない他の(認知症合併患者含む)患者の状態が気になりながら、必死に優先度の高い患者の看護を続ける」「看護業務の緊迫化により、持続的に緊張感がある」の項目について「いつもある」「しばしばある」「時々ある」と回答した割合は89.9%、87.7%と高かった。 看護師の対応と苦悩に関連する要因は、経験や知識、チームワーク(経験の浅い看護師のフォロー含む)、応援体制、病床管理や指導方法、医師の指示や理解度、患者の権利意識や理解度、家族参加の状況、家族との関係性であった。看護師が苦悩を乗り越えるために、職場内外のサポートを求めていることが示唆された。
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