実施したパイロットスタディの短期効果について、査読を受けながら分析方法の精緻化を図るとともに、今後の研究の方向性について検討を進めた。 パイロットスタディにおけるプログラム前後のデータをもとに、反復測定による二元配置分散分析を行った結果、ENDCOREsの下位尺度である「他者受容」で交互作用がみられ、BAPが低い群で有意な上昇がみられた。また、KiSS-18の全体尺度で主効果がみられ、BAPが高い群で有意な上昇がみられた。KiSS-18の下位尺度である「攻撃に代わるスキル」で主効果がみられ、両群で有意な上昇がみられた。ENDCOREsの全体尺度で主効果がみられ、両群とも有意な変化ではなかったが、プログラム後に上昇がみられた。ENDCOREsの下位尺度である「表現力」で主効果がみられ、BAPが高い群で有意な上昇がみられた。一方で、統制群を設けた検討や長期効果についての検討が必要となるなど、今後の研究の方向性に関する示唆が得られた。 しかしながら、BAPの看護学生に対する支援に関する研究は他になく、本研究で構築したプログラムはBAPの程度が低い者でも社会的スキルとコミュニケーション・スキルが向上し、高い者ではより顕著に向上させる可能性があることから、本研究成果はBAPのある看護学生における修学支援の基盤モデルにつながることが期待される。
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