研究課題/領域番号 |
20K19034
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
河村 真人 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (20524581)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 緑膿菌 / クロルヘキシジン / 消毒薬 / Efflux pump / 耐性菌耐性菌 / porin |
研究実績の概要 |
緑膿菌は、医療関連感染症の起因菌である。特に、各種抗菌薬に耐性を獲得した多剤耐性緑膿菌(MDRP)による感染症は、難治性であることから医療上の問題となっている。このような薬剤耐性菌は、抗菌薬の乱用により出現すると考えられていた。しかしながら、本検討において、クロルヘキシジンを暴露した臨床分離緑膿菌は抗菌薬にも交差耐性を示すことを見出した。緑膿菌における消毒薬のクロルヘキシジン抵抗性は、efflux pumpの高発現が要因の一つに考えられている。また、このefflux pumpは抗菌薬のピペラシリン、シプロフロキサシン、イミペネムおよびアミカシンなども排出することが知られている。本検討は、クロルヘキシジンに暴露された緑膿菌が、各種抗菌薬に耐性を示す可能性を検討することを目的とした。 被験菌株は、臨床分離された緑膿菌60株とした。各被験菌株を培養後に、最終濃度500 μg/mLのクロルヘキシジンに暴露した。暴露後に生残した菌株を用いて、ディスク法(ピペラシリン、シプロフロキサシン、イミペネムおよびアミカシン)による感受性を測定した。 クロルヘキシジンに暴露後に生残した緑膿菌のうち、1株がピペラシリンに耐性を示した。臨床において、クロルヘキシジンを用いた消毒で緑膿菌の殺菌が不十分な場合に、ピペラシリン耐性を選択する可能性が示唆された。これまで抗菌薬耐性菌は、抗菌薬の暴露で耐性を獲得すると考えられていたが、消毒薬でも抗菌薬耐性を獲得する可能性を発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度中に、論文を投稿できるように仕上げている計画であったが、エフォートのうち新型コロナウイルス対応が想定外に出来事として生じてしまった。実験は、おおよそ8割が終了しているので、今後は論文作成を中心に行う予定である。また、学会報告は2回ほど出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、エフォートを考慮しながら進めていく。今年度中に論文投稿を完了する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦において、旅費の支出が少なかった。今年度は、学会報告の旅費、論文作成費用に使用する予定である。
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