研究課題/領域番号 |
20K19035
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研究機関 | 日本赤十字秋田看護大学 |
研究代表者 |
児玉 悠希 日本赤十字秋田看護大学, 看護学部看護学科, 助教 (50769578)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 近接センサ / ビーコン / Zigbee / RF-ID / 看護管理 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①「患者と看護師の接触時間」を自動計測するためのICTツールを開発し、②「患者と看護師の接触時間」とDPCデータ、及び既存の看護定量化指標との関係を明らかにすることである。2020年度の研究計画においては、患者と看護師の接触時間を測定するための機器とシステムの開発を行うことを目標としていた。予定通りに機器の開発、システム開発に取り組み、「患者が所持するビーコン」、「看護師が所持する受信機」、「データを可視化するためのソフトウェア」の3つが成果物として完成した。患者が所持するビーコンは2秒ごとに微弱な電波を発し、看護師が受信機を所持し業務を行うことで接触時間のデータを蓄積する。当初は、機器の仕様としてBluetoothの電波を用いた接触時間の測定を予定していたが、機器の消費電力を抑える理由からZigbeeの電波を用いた仕様に変更し開発を行った。また、開発過程の機器の評価において、電波通信のみでの正確な測定が、困難であったため、RF-ID(電子タグ)を併用することで測定精度を高める工夫を行った。最終的にZigbeeの電波方式、RF-ID(電子タグ)の2つの機能を活用した近接センサが完成した。取得したデータを可視化するためのソフトウェアに関しては、2秒/1件で蓄積される膨大なログデータをExcelファイルとしてPCに移行し、時間表記での接触時間の算出とグラフ出力できるソフトを開発した。データを解析する過程で電波強度によるデータクリーニングを行えるようにデータ化する電波強度の閾値設定を調整できる機能や、電波強度別に色分けしてグラフ化できる機能を付加した。 以上のことから、患者と看護師の接触時間を測定するための機器、ソフトウェアの開発において、一定の成果を上げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度予定であった機器・システム開発においては概ね順調に経過し、目標であった成果物を完成させることができ、一定の成果を上げることができた。しかしながら、開発過程で機器の仕様変更(機器の測定精度を高めるために必要な仕様変更)を行ったことから、当初の予定以上に開発費が増加した。この影響によって、今後の研究計画に変更が生じたため、評価区分としては「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に準じて、令和3年度は開発機器の性能評価を実施する。性能評価を行うための模擬病棟を設置し、より臨床の場に近い状況での運用試験によって機器の評価と調整を行う。研究遂行上の問題として、初年度の機器開発による経費の増加があげられる(機器の測定精度を高めるための必要経費)。今後の研究計画において変更を必要とする点としては、令和4年度計画の開発機器の量産および臨床での調査があげられ、最終到達目標の変更が必要となる。新たな最終到達目標を開発した機器・システムの臨床での実装可能性の評価までに変更とし、研究を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
機器開発のために計上した物品費とほぼ同等の経費で研究費を使用したため、当該年度の決定額と実支出額との差額は70円であった。差額分の70円に関しては、翌年度の通信費として使用する。
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