研究課題/領域番号 |
20K19037
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
蜂ヶ崎 令子 東邦大学, 健康科学部, 講師 (30385570)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 転倒要因 / 転倒予防 |
研究実績の概要 |
今年度は、近年の転倒予防研究に関する動向を調査し、高齢者の転倒予防対策のポイントを明らかにすることを目的として、文献検討を行った。医学中央雑誌web版Ver.5を用いて、転倒予防、転倒対策、転倒原因、転倒要因をキーワードとして、症例報告・事例をのぞく2016~2021年の文献を抽出し、その内容から転倒要因や転倒予防に関連のある108件を対象とした。 転倒要因としては、年齢、身体的要因(ふらつき、脱力、視力障害、下肢・握力などの筋力低下、下肢・体幹運動機能低下、上下肢麻痺、ロコモティブシンドローム、ストライド長の短さ、ADL介助量の多さ、開眼片足起立時間、立位姿勢での重心の左右バランスの差、スリッパの着用、体温の変動、睡眠時間、食事性低血圧、頻尿、排泄状況、泌尿器科患者、足爪白癬)、精神認知機能的要因(睡眠薬の影響、認知症、前頭葉機能の低下、認知・精神機能低下、TMT-A、反応時間の遅延)、その他(人的環境要因、入院日数の長さ)などがあげられた。転倒原因は、つまずき・ひっかかり、足のもつれ、バランスを崩すなどであった。 転倒予防対策では、患者自身の履物の準備や危険行動への理解などの転倒に対する患者自身の意識の向上、転倒予防体操へのセルフモニタリングの導入、下肢筋力の維持・向上、足趾筋力トレーニング、患者の生活支援や身体的・精神的苦痛への早期介入、スタッフの転倒予防への意識変化、多職種連携で取り組む仕組みの定着、転倒防止マップの作製などが効果的であることが示唆された。 以上の結果から、立位あるいは歩行時のバランスや筋力などの運動機能と、認知機能が転倒に関与する主な要因となっていた。また、予防対策としては、患者自身の理解、筋力とバランス能力の向上とともに、スタッフ全員で対策に取り組む仕組みづくりが必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は2度にわたる緊急事態宣言などが行われたコロナ禍にあり、実験に必要な機器の吟味や被験者の募集が困難な状況であった。また、遠隔授業準備などの対応に追われ、十分な研究時間の確保ができなかった。このため研究実施計画を変更し、文献検討を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、初年度計画にあげた内容を実行できるよう、感染状況に合わせて早期から取り組めるよう準備を進めていく予定である。 具体的には、予備実験による点滴スタンドへの適切な重量負荷方法の検証を実施する。方法は、4脚と5脚の点滴スタンドに輸液ポンプ、輸液バッグ、酸素ボンベがわりのウエイトを取り付けて、その重心動揺の状況を測定する。先行文献も参考にしながら、歩行中に点滴スタンドが倒れにくい輸液バック、輸液ポンプ、酸素ボンベの取り付け位置を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナ禍により、実験用機器の吟味や被験者を募集した実験の実施が困難であった。2021年度は感染状況も踏まえつつ、前年度の遅れをとり戻せるよう活動を進める予定である。具体的には、実験機器の購入(フォースプレートまたは重心動揺計など)や被験者への謝礼として使用予定である。
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