研究課題/領域番号 |
20K19037
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
蜂ヶ崎 令子 東邦大学, 健康科学部, 講師 (30385570)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 動作分析 / 歩行分析 / 転倒 |
研究実績の概要 |
今年度は、日本国内における近年の動作分析、歩行分析研究に関する動向を調査し、転倒要因の抽出方法を検討することを目的として、文献検討を行った。医学中央雑誌web版Ver.5を用いて、動作分析、歩行分析をキーワードとして、過去5年間2017~2022年の原著論文を抽出した。抽出された原著論文全116件のうち、ヒトを対象として実験や計測を実施している83件を対象とし、物体やモデルを対象とした文献を除外した。 動作分析、歩行分析の対象者は健常者が38件(46%)、患者や障害のある者が35件(42%)、健常者と患者が10件(12%)であった。研究対象としている人数は、平均19.5名(範囲1-128)であった。動作分析、歩行分析の手法として最も多く見られていたのは、三次元動作分析・三次元動作解析であり、57件(69%)の研究で用いられていた。そのほか、床反力計が17件(20%)、加速度計(慣性センサ、3軸加速度計を含む)が7件(8%)、表面筋電図が6件(7%)となっていた。ビデオカメラのみによる動作観察は4件(5%)と少なかった。分析に用いられていた変数は、歩容(歩行速度、歩幅、歩行率、遊脚期・立脚期など)の他、体幹角度(前屈、側屈)、骨盤の傾斜角度、股・膝・足関節などの角度、各モーメント、重心、筋活動などであった。 三次元動作分析・解析装置の普及や、マーカーレスで計測できる機器の開発などにより、三次元動作分析がより身近になっており、さらに床反力計や加速度計、表面筋電図の普及もヒトを対象とした歩行・動作分析研究を促進している可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度も昨年度に引き続き、新型コロナウイルスの蔓延による3度の緊急事態宣言やまん延防止措置などが行われたコロナ禍にあり、実験機器の吟味や被験者の募集、実験の実施が困難な状況であった。また、遠隔授業対応や臨地実習の中止による学内実習への変更準備などの対応に追われてしまい、十分な研究時間の確保ができなかった。このため研究実施計画を変更し、文献検討を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、新型コロナウイルス感染状況の悪化や遷延に左右されない研究方法に変更するなど、研究計画を大幅に見直した上で、研究に取り組めるよう準備を進めていく予定である。具体的な案としては、点滴スタンドへの適切な重量負荷方法の検証として、4脚と5脚の点滴スタンドにさまざまな重さのウエイトを順次取り付け、その重心動揺の変化状況を測定する。点滴スタンドが倒れにくい輸液バック、輸液ポンプ、酸素ボンベの取り付け位置を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、引き続き新型コロナウイルスの蔓延により、実験用機器の吟味や被験者を募集した実験の実施が困難であったため、次年度使用額が生じた。2021年度の未使用額と2022年度の交付額を合わせた金額は、実験機材の購入や被験者への謝礼、論文投稿に係る英文校正料、消耗品等の購入等に使用していく予定である。
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