研究課題/領域番号 |
20K19045
|
研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
平山 憲吾 札幌市立大学, 看護学部, 助教 (40779469)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 進行がん / 高齢者 / 化学療法 / 意思決定 / 家族介護者 |
研究実績の概要 |
本研究は、進行がんを有する高齢患者における化学療法の継続を決定するプロセス、および、患者の意思決定を支える医療者が捉える課題を明らかにし、それらを統合することによって意思決定支援モデルを構築することを目的としている。 2020-2021年度は、化学療法を受ける高齢患者を対象として、治療の継続における判断とその判断に影響を与えた要因について、修正版グラウンデッドセオリーアプローチ法を用いて明らかにした。その後、医療者を対象とした調査を予定していたが、近年は意思決定プロセスにおいて患者・家族と医療者による共同意思決定が注目されていることからも、高齢患者の家族を対象とした研究を優先することとした。 そのため、2022年度は高齢患者の家族を対象にした研究に取り組んだ。我が国では、高齢の患者を介護する主介護者の内訳として最も多いのは配偶者であることから、高齢の配偶者に焦点を当てた。当該研究では、緩和的化学療法を受ける高齢患者の配偶者の体験を明らかにすることを目的とし、得られたデータはThematic analysisを用いて分析した。その結果4つのテーマが見出され、【闘病生活の日常化】【死生観の深化】【豊かな余生を望む】【将来に対する不安】が示された。化学療法を受ける高齢患者を介護する高齢の配偶者は、患者に出現する化学療法の副作用症状への対処などに奔走しながらも、介護生活に徐々に慣れていくことにより生活を再構築していた。そのプロセスにおいて、患者の病状進行に対する恐怖心や自身の健康が悪化することに対する不安などの感情が混在していたが、患者が心地よく治療を継続できるための配慮がみられた。本研究に関しては、論文を執筆し現在投稿中である。 2023年度は、意思決定支援モデルの構築に向けた医療者に対する調査を進めることとする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により、当初予定していたデータ収集に時間を要したことと、研究を進める過程において予定を変更して進めているため。
|
今後の研究の推進方策 |
第一段階として進行がんを有する高齢患者を対象とした研究、および、第二段階として進行がんを有する高齢患者の家族(配偶者)を対象とした研究は終了した。今後、第三段階として医療者を対象とした調査を進めていく予定とする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020-2021年度に、COVID-19による影響にて繰越金が発生していた。2022年度は、学会発表による旅費や論文投稿に伴う費用等で使用した。今後も、調査や成果公表において計画的に使用していくこととする。
|