がんと診断され化学療法を受ける2型糖尿病患者は、化学療法中の血糖変動が大きく、それに加えて重篤な副作用が出現しやすい。したがって、それぞれの自己管理は生命やQOLに直結するため重要である。しかし、化学療法を受ける2型糖尿病患者の化学療法中の血糖変動や副作用に対する自己管理の状況は明らかになっておらず、支援方法も確立されていない。そのため、がんと診断され化学療法を受ける2型糖尿病患者の血糖と副作用の自己管理を促進するプログラムの開発が急務であると考えた。 第1研究として、糖尿病患者の化学療法中の血糖変動、副作用、自己管理の状況を明らかにすることを目的とし、国内外の25文献を対象に文献レビューを行った。第2研究として、がんと診断され化学療法を受けている2型糖尿病患者が、どのように血糖と副作用を自己管理しているのかそのプロセスを明らかにした。第3研究として、第1研究と第2研究の結果を基にがん化学療法を受ける2型糖尿病患者の血糖と副作用の自己管理を促進するプログラムを開発し、その妥当性と臨床適用可能性を評価した。作成したプログラムは、いくつかの改善点の指摘があったが、概ね妥当性と臨床適用可能性が認められた。したがって、今後、指摘された改善点を修正してプログラムを洗練化し、そのプログラムを活用することによって、看護師の効果的な援助が可能となり、患者の血糖と副作用の自己管理が促進され、治療中の患者のQOLが向上することが期待できる。今後の課題は、プログラムをより洗練化し、介入研究によるプログラムの効果と有用性を検証することである。
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