研究課題/領域番号 |
20K19059
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤田 結香里 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (20827919)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 2型糖尿病 / 通院中断 / 関係構築スキル / 患者教育プログラム / 医療者 |
研究実績の概要 |
2型糖尿病患者が生涯にわたり、中断せずに通院継続できるための、新たな教育方法の開発が必要と考え、「医療者との関係構築スキル向上プログラム」の開発を目指すことを本研究の目的としている。プログラム開発に向けて、2つの目的をもって計画を進めている。2021年度は、2020年度に引き続き文献検索を行った。検索期間を2022年4月まで範囲を広げ、医学中央雑誌だけでなく、PabMedでの検索も行った。また、本研究の調査内容を検討するためにも、本研究で用いる「2型糖尿病患者がもつ医療者との関係構築スキル尺度」の実態および糖尿病治療におけるQOL(Diabetes Therapy Related QOL;DTR-QOL)との関連について、通院中断経験の有無と比較して分析を行った。分析対象者は262名であり、男性184名、女性78名であった。そのうち、36名(13.7%)が通院中断を経験していた。分析の結果、2型糖尿病患者がもつ医療者との関係構築スキル尺度の総得点(180点満点)は、中断経験あり群(122.19±29.78点)が中断経験なし群(136.47±20.74点)よりも有意に低かった(p<0.01)。DTR-QOLの総得点(203点満点)においても、中断経験あり群(130.94±29.41点)が中断経験なし群(145.16±29.10点)よりも有意に低い結果だった(p<0.01)。「2型糖尿病患者がもつ医療者との関係構築スキル尺度」とDTR-QOLの総得点間でSpearmanの順位相関係数は、対象者全体と中断経験なし群で弱い正の相関を認めた。これより、2型糖尿病がもつ医療者との関係構築スキルや糖尿病治療におけるQOLが中断に影響を及ぼすことが明らかとなった。 現在、新型コロナウイルス感染症の影響により調査が進んでいないため、今回の結果をうけて調査内容・調査方法の検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響が続いており、研究フィールドや対象者の確保に苦慮し、実態調査開始の目途が立たない状況であり、当初の予定よりも遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の収束時期が見込めないため、調査方法をWeb調査にすることも検討していく。Web調査に変更した場合、正確なデータを得られない可能性もあるため、調査用紙の見直しやプレテストを実施する。 当初の計画にある、対象者の診察場面や診療場面の観察に関しては、対象者と医療者それぞれにアンケートを実施するなど代替案を考えていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実態調査の遅れに伴い、ドキュメントスキャナーやICレコーダーの購入を次年度に見送った。また、新型コロナウイルス感染再拡大により、国内外の学術集会の参加や研究打ち合わせが全てオンラインとなったため、旅費使用額が大幅に少なかった。次年度は調査方法をWeb調査に変更することも視野に入れているため、調査費用としての使用を検討している。
|