研究課題/領域番号 |
20K19065
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研究機関 | 日本医療大学 |
研究代表者 |
齋藤 道子 日本医療大学, 保健医療学部, 講師 (00826381)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 個室隔離 / 多剤耐性菌 / COVID-19 / パンデミック / 不安 / うつ |
研究実績の概要 |
本研究は,個室隔離されている感染症患者への心理的ケアに着眼し,看護師を対象とした教育プログラムを開発することを目的としている.2020年度は,教育プログラムの原案を作成するために,感染症患者に対し感染拡大防止策をとることの心理的影響および心理的ケアについて,国内外の研究を概観した. すでに多剤耐性菌が検出されている患者が,個室隔離もしくは接触予防策下におかれることで,不安やうつになりやすいことが報告されている.昨今は,新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19と略す)のパンデミック下にあり,COVID-19と診断された患者とケアを担当する医療従事者に,不安やうつの傾向があることが報告されている.さらに,COVID-19の診断は受けていないが,基礎疾患がある,もしくは周産期にある等,医療的介入を必要とする人々,さらにパンデミック下において生活様式の変容が求められる一般の人口集団においても同様の傾向があることが報告されている.これらの報告の中で,特に患者のケアを担う看護師は,自身が感染するかもしれないリスク,自身の家庭に感染症を持ち込むリスクを危惧していた.また,看護師自身の不安が患者のケアに影響を及ぼすことを危惧していた.本研究は看護師を対象にした教育プログラムを開発することを目指している.よって,パンデミック下において看護師は,感染対策を行いながら,かつ感染対策下にあることによる患者のネガティブな経験を,最小限とする取り組みが可能な心理状態を維持する必要がある. これらのことから,教育プログラムの原案作成において,日常的に行われる感染対策に加え,パンデミックを想定した内容を加えることを検討する.また, COVID-19と診断された患者への効果的な心理的ケアに関する知見は十分ではないことから,実践可能な心理的ケアの内容について検討する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は,新型コロナウイルス感染症流行の影響により,学内業務の変更への対応(オンライン講義および臨地実習の中止に伴う学内実習への変更等)に時間を割くこととなり研究の遂行が困難であった.また,体調不良による入院,所属施設の異動等が重なったことも一因ではある.現在は新たな所属で研究遂行が可能な環境が整っている.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,教育プログラムを開発するプロセスを作成する.これはインストラクショナルデザインの構成要素であるADDIEモデルに沿って行い,施設の感染対策および看護上の課題の分析(Analysis),教育プログラムの企画(Design),教材の開発(Development),実施(Implementation)および評価(Evaluation)の枠組みを作成する.次に,研究参加者が自施設の教育プログラムを開発・実施するための支援ガイドを作成する.これに並行し,研究協力者のリクルート方法について検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行の影響により,研究推進のための時間確保が困難となり,経費の使途について十分な検討ができなかった.2021年度は,研究推進のための機材を準備する.
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