本研究は、急性期病院の内科系・外科系一般病棟看護師を対象にした、病棟で活用できるアロマセラピーケア教育プログラムを開発し、その有効性を検証することを目的としている。研究は3段階(第1段階:アロマセラピーケアのエビデンスを整理しアロマセラピーケア教育プログラムで用いる冊子コンテンツの検討・作成、第2段階:アロマセラピーケア教育プログラムで用いるweb教材の作成、第3段階:冊子およびweb教材の試用および評価)に分け、2020年度は第1段階の研究に取り組んだ。 アロマセラピーケアのエビデンスを整理するため、医中誌webを用いて文献を検索した。選定基準は、看護師が入院患者を対象にアロマセラピーケアを実施しており、ケア方法や使用精油が明記されているものとし、文献レビューを行った。 その結果、病棟看護師が行うアロマセラピーケアは、周術期患者、精神疾患患者、認知症患者、ターミナル期患者の順に実施が多く、以上の対象患者で全体の約8割を占めていた。対象患者のリラクゼーションやストレス緩和を目的としていたものが全体の約4割で最も多く、次いで睡眠障害改善、倦怠感緩和、BPSD緩和、疼痛緩和、浮腫改善、便秘改善等を目的に実践されていた。介入方法は、精油を用いたマッサージが全体の約6割で最も多く、次いで芳香浴、吸入、足浴の順で用いられていた。使用精油では、ラベンダー精油の使用が全体の約3割を占め最も多く、オレンジスイート精油の使用が全体の約2割、次いでベルガモット精油、グレープフルーツ精油、ローズマリー精油の順で使用され、その他19種類の精油が用いられていた。 以上より、有用性が認められた内容をふまえ、アロマセラピーケア教育プログラムに必要な冊子コンテンツを検討した。今後は、MEDLINE、Embaseを用いて文献レビューを行いエビデンスを整理した後、冊子作成に取り組む予定である。
|