アンケート結果から、入院患者の自殺が医療者に及ぼす影響について、看護師のもつ認識を質的記述的に分析した結果、抽出された466コードから4つのカテゴリー「感情的混乱」「日常生活への影響」「自殺と向き合う時間の増加」「価値観の変容」、12のサブカテゴリーに分類された。また対象を看護師への支援の必要性を強く感じている群とあまり感じていない群に分け、看護師のもつ自殺に対する印象の自由記述を質的記述的に分析した。両群に共通した印象として「自殺の是非」「自殺を企てる人の状態」「自殺企図の意味」であり、大きな違いとしては支援の必要性を強く感じている群でのみ自殺後の周囲への影響を指す「サバイバーへの影響」が抽出された。これらより、遺された人々への影響までの理解がポストベンションの動機づけになり得、自殺予防教育に含めることが効果的と示唆された。 本研究で作成した「自殺に対する態度が支援の必要性に与える影響のモデル」は、GFI、CFI、RMSEAの値から初期モデルとして許容範囲であるが適合度の高いモデルとは言い難く、自殺予防教育への示唆は得られたがこれらを基にしたプログラムの作成までは至らなかった。今後は更なる調査によってモデルの完成度を高めることが必要である。
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