研究課題/領域番号 |
20K19074
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
上山 千恵子 関西医科大学, 看護学部, 助教 (90751587)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 精神科入院患者 / 自殺 / 看護師支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、(1)精神科病床を有する病院における入院患者の自殺に関わった看護師に対する支援の実態を明らかにすること、(2)患者の自殺による看護師への影響や事後対応に関する院内教育の実態と課題について明らかにすること、(3)入院患者の自殺により影響を受けた看護師の支援方法、入院患者の自殺による看護師への影響に関する院内教育の在り方について検討することである。 2021年度は、研究計画の【第1段階】全国の精神科病床を有する病院を対象とした質問紙調査に取り組んだ。全国の精神科病床を有する病院のうち1300施設を対象に質問紙調査を実施し、自殺発生時の対応マニュアルやスタッフケアについてのフローチャートの有無、自殺発生後の看護師支援の実際、自殺予防に関する研修実施の有無、自殺発生後に起こりうる反応や事後対応に関する研修実施の有無等について回答を求めた。調査期間は2021年12月1日~12月31日であった。その結果、285病院から回答が得られた。院内で自殺予防に関する研修している施設は72施設(25%)であり、自殺発生後に起こりうる反応や事後対応に関する研修を実施しているのは23施設(8%)であった。 また205施設が1年以内、1~5年以内、5年以上前のいずれかに入院患者の自殺を経験していた。実際に起こった入院患者自殺にのうち最も代表的な事例について、実際に行った看護職員への支援について回答を依頼した結果、自殺遭遇者・発見者、当日勤務者へは「ねぎらいの言葉」が最も多く、続いて「カンファレンス」「面談」「休暇・業務軽減」「精神健康調査」を実施しているとの回答が多かった。当日勤務者ではない病棟スタッフに対しては「カンファレンス」の実施が最も多く、続いて「ねぎらいの言葉」「面談」を実施しているとの回答であった。 調査の詳細な分析結果は、2022年度に関連学会で発表を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、質問紙調査のプレテストの依頼が困難であったため質問紙作成に時間を要した。また、アルバイト等の人員確保が困難であり調査結果データの整理に時間を要したためさらなる遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
質問紙調査結果についてさらに詳細な分析を行う。また質問紙調査を実施した際、今後聞き取り調査を計画していることを記載し任意での協力を求めた。その結果協力可能との回答が得られた5施設に対して2022年度夏を目途に聞き取り調査を実施する。具体的には、自殺発生後の看護職支援で上手くいったと感じられた事例について、難しさを感じた事例について聞き取り調査を行う予定である。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を鑑み、聞き取り調査はオンラインでの実施を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗の遅れにより、今年度予定していたインタビュー調査と学会発表ができなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度にインタビュー調査と学会発表を行う予定である。
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