研究課題/領域番号 |
20K19077
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
高橋 秋絵 神戸女子大学, 看護学部, 講師 (50802435)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 新人保健師 / うつ病 / 妊産婦 / 信頼関係 / 関係構築 |
研究実績の概要 |
2022年度は新人保健師1名と熟練保健師1名の面接調査を実施した。うつ病をもつ妊産婦と関わった1事例について振り返り、関わる際の困難、困難がありながらなぜ関わり続けることができたのか、関わりの工夫などについてインタビューを行った。 ①新人保健師への面接調査:新人保健師は、対象者の発言が二転三転することによって関わりに困難を感じていた。しかし、意見が変わることは「対象者が困りながら出した結果」だと考えて関わり続けていた。そのように考えた背景には、自身が対象者の良き理解者であることや、保健師は困っている対象者を支援できる立場であるという保健師としての思いがあることが示唆された。また、初対面の時は対象者を知ることから始めるといった先入観をもたない関わりによって、対象者の強みにも目を向けられていることが示された。 ②熟練保健師への面接調査:熟練保健師は、保健師として自分がやらなければいけない、妊産婦の成長を助けられるといった思いを抱いており、対象者の理想像を知りそれを支援することを大切にして対象者と関わっていた。さらに、対象者に会えてうれしい感じをいつも出す、監視している感じで関わらないといった態度や、対象者の頑張ってきたことを認める、対象者が良い方向に変えられるようにナビゲートするといった対象者が自己決定できるように支援することを大切にしていた。また、うまくいかなかったときはしっかり振り返る、保健師として関わった意味を積み重ねる、常に最悪の事態を想定しておくといったこれまでの経験を踏まえた関わりの工夫を行っていた。 ①②の面接調査の結果から、対象者の強みや頑張りに目を向けることや対象者の思いや考えを知る関わりが信頼関係の構築につながると考えられた。また、保健師としての自信や自己信頼が対象者と関わり続けるために重要であり、信頼関係構築のために必要なことであることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大のため、新人保健師および熟練保健師へのインタビュー調査の開始が遅れた。2022年度は新人保健師1名、熟練保健師1名のインタビューのみ実施できた。市町村から研究協力の承諾が得られ、2023年度に新人保健師・熟練保健師各5名程度のインタビュー調査が実施可能予定となったため、「やや遅れている」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を1年延長したため、2023年度が最終年度となる。8月頃までに新人保健師および熟練保健師の面接調査を完了し、データ分析を行う。面接調査の結果については、2023年度内に学会発表を行う予定である。面接調査の結果と文献検討の内容を踏まえ、うつ病をもつ妊産婦との関係構築のためのマニュアル案の作成を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に計画していた面接調査が一部のみしか実施できなかったことから、研究参加者の謝礼や面接調査の文字起こしの費用、面接調査のための旅費を一部しか使用しなかった。2023年度に継続して面接調査を実施し、マニュアル案を作成するため、それらに係る謝礼、文字起こし、旅費等を使用する計画である。さらに、2023年度は面接調査の結果を学会発表する予定であるため、それに係る経費も使用予定である。
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