研究課題/領域番号 |
20K19081
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
青山 泉 杏林大学, 保健学部, 講師 (30811153)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / パーキンソン病患者 / アロマセラピー / レモングラス / 看護 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,補完代替療法であるアロマテラピーによる疼痛緩和の有用性を検証することにある。研究計画において昨年度より、パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)患者の慢性疼痛に修正を行った。 本年度は, PD患者に、芳香浴(I)・マッサージ(M)・アロママッサージ(AM)を実施・分析を通して、嗅覚刺激と触覚刺激から生じる結果を明らかにすることで医療への有用性を検討した。聖路加国際大学・東海大学の倫理委員会の承認を得て実施した。(No21A-095)その成果は国内・国際学会にて発表した。 患者は、足部の慢性疼痛を最も苦痛としていたが、実施中・直後は、「心地よさ」により特有の仮面様顔貌が消え、笑みがみられた。加えて、「PDと真正面から向き合い、自分を大切にしたい」と病気の受容にも変化をもたらした。EEGはAMにおいて疼痛軽減を示す波形Peak Alpha Frequencyが最も上回り、安静時と比較し、Peakが右側へ偏位、Power Spectrumが大幅に増加した。採血結果は、服用薬剤量や種類に変更がなかったが、ドーパミンはAM13.6%、M6.4%、I7%上昇した。セロトニンはAM 18%、M2.2%、I4.2%上昇した。β-エンドルフィンはAM 75%、M63%、I18%上昇した。 AMは患者の発言や身体感覚の変化,EEGや採血結果から疼痛緩和に対し有効であると示した。これは、触覚刺激と嗅覚刺激が、快刺激によるで内因性オピオイドペプチドが放出され、疼痛緩和に奏効したと考えられる。しかし、本研究における結果のみから中枢神経の機構について論じることは難しく、1例の結果にすぎない。今後は、追加の研究検証を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年からの研究実施により、データ収集は概ね完了し、現在、データ解析に取り組んでいる。本年度は新型コロナウイルス禍に伴う研究計画の遅れ分を取り戻すことができた。しかし、研究対象者の募集には時間を要したことや、長期間の研究の為、患者の予定を無理ない程度に行うためにの日程調整などが発生し、予定していた研究計画からは、進捗は滞っていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
「進捗状況」の欄に記載したように、2023年度は,予備研究で実施した事例研究を統合して質的にも量的にも分析していく。 その後,本研究として,アロママッサージが慢性疼痛患者のQOL向上に関与し,疼痛緩和の包括的な看護ケアとしていえるのか検証していく。 また,昨年実施した予備研究については論文発表・投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は新たな介入研究実施の為の消耗品、データの解析及び統計学的解析、ならびに これまでに実施した研究データの入力や解析の作業、成果発表等が残っており、その費用に使用する予定である。
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