研究実績の概要 |
本研究の目的は、補完代替療法であるアロマテラピーによる疼痛緩和の有用性を検証することにある。研究計画において一昨年度より、パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)患者の慢性疼痛に修正を行った。 本年度は慢性疼痛を抱えるパーキンソン病患者4例に芳香浴・マッサージ・アロママッサージを3週間ずつ行い、その結果から疼痛緩和とQuality of Life(QOL)向上の観点から検討した。本研究は複数実施を伴う単群前後比較試験、及び、質的研究である。主観的疼痛評価にはVisual analog Scale(VAS)とKing's Parkinson's disease Pain Scale(KPPS)、客観的疼痛評価には採血データとして血漿ドーパミン、全血セロトニン、血漿βエンドルフィン、QST、脳波、QOL評価にはParkinson’s Disease Questionnaire-39(PDQ39)を測定し、実施間の評価項目変化の比較を行った。更に、インタビューを実施前後に測定し質的評価を行った。統計ソフトはSPSS.Ver.25を用い、線形混合モデル解析を用いた。有意水準はp<0.05となした。 結果は、芳香浴に比べ、マッサージ及びアロママッサージ実施中や後にVASやKPPSが減少した(アロママッサージ実施後: VAS 実施中・直後:変化量-6.17cm、P< 0.001)。採血では、アロママッサージのみが明確に血漿ドーパミンが上昇した(変化率29.0%,P=0.029)。血漿β-エンドルフィン はM・AMが明確に上昇した。(マッサージ:+57.68%,P = 0.002 アロママッサージ:+88.78%, P<0.001)脳波計はアロママッサージで最もPeak Alpha Frequencyが上回った。実施後にPDQ39総合計点数は-3.75(P<0.005)、インタビューからは共起ネットワーク図が作成されカテゴリーが抽出できた。 その成果は国内・国際学会にて発表した。
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