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2022 年度 実施状況報告書

遺伝医療のunmet needsを解決するための遠隔遺伝カウンセリングの実践

研究課題

研究課題/領域番号 20K19082
研究機関独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター)

研究代表者

井上 沙聡  独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (10870074)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード遺伝カウンセリング / 遠隔医療
研究実績の概要

遺伝学的検査(生殖細胞系列の遺伝子検査)は、保険適応の拡大に伴い、近年急速に実施件数が増加している。遺伝学的検査は生涯変化せずかつ血縁者にも影響を与える個人の遺伝情報を扱うため、その実施に際しては遺伝カウンセリングが必須であり、そのneedsは急増している。しかし、遺伝専門職である臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーの数は少なく、かつ都市部に偏在しており、遺伝医療の格差が存在する。
こうした遺伝医学・遺伝看護学におけるunmet needsを解決するために、ビデオカンファレンスシステムを用いた遠隔遺伝カウンセリング(Tele-Genetic Counseling: TGC)に着目する。TGCは、欧米においては一定の成績を挙げているが、本邦では未だ普及していない。本研究は、本邦初のTGCに関する臨床研究であり、アンケート調査の2群(遠隔群vs対照群)比較により、TGCの安全性、有効性、留意すべきポイント、法的に遵守すべきことなど、実地的な観点から知見を獲得する。本研究を通じ、TGCを社会実装していくためのエビデンスを構築することを目指す。
令和4年度は、令和2、3年度に引き続き、作成したアンケート調査票を「遠隔遺伝カウンセリング」群(以下、遠隔群)と「対面遺伝カウンセリング」群(以下、対照群)に割り付け、遺伝カウンセリング終了後に調査票を直接配布した。現在までに遠隔群17名、対照群51名に調査票を配布し、遠隔群12名、対照群32名から返答を得た(回収率 64.7%)。予定症例数到達まで、引き続き調査票の配布と回収を継続する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究立案時には想定していなかった新型コロナウイルスの感染流行に伴い、遠隔医療が想定より早く着目されるようになった。遠隔遺伝カウンセリングについても一定の成果が得られているが、遺伝カウンセリング来談数が想定より少なかった。

今後の研究の推進方策

令和5年度は、引き続き遠隔群および対照群で質問票配布および回収に努める。遠隔群と対照群とで回答スコアを統計学的に比較検討し、TGCの有効性、問題点、 利用者満足度を明らかにする。また自由記載欄から、利用者の具体的な意見やニーズを収集する。本研究の成果を関連学会等にフィードバックし、多角的な観点からTGCの質の評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19感染症が流行に伴い、遺伝カウンセリング来談数が想定より少なかった。また学術集会がWeb開催となり、旅費が不要となった。
次年度は登録症例数の目標到達を目指し、調査票回答スコアの統計学的解析を行い、TGCの有効性、問題点、利用者満足度を明らかにする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] The pathogenic role of the BRCA2 c.7847C>T (p.Ser2616Phe) variant in breast and ovarian cancer predisposition2023

    • 著者名/発表者名
      Yamazawa Kazuki、Sugano Kokichi、Tanakaya Kohji、Inoue Satomi、Murakami Haruka、Nakashima Moeko、Adachi Masataka、Oki Shinya、Makabe Takeshi、Yamashita Hiroshi、Ueki Arisa、Sasaoka Ayako、Nakashoji Ayako、Kinoshita Takayuki、Matsunaga Tatsuo、Arai Masami、Nakamura Seigo、Miyata Hiroaki、Ikegami Masachika、et al.
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1111/cas.15799

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy in a Japanese patient with a homozygous founder variant of DSG2 in the East Asian population2022

    • 著者名/発表者名
      Murakami Haruka、Tanimoto Yoko、Tanimoto Kojiro、Inoue Satomi、Ishikawa Taisuke、Makita Naomasa、Yamazawa Kazuki
    • 雑誌名

      Human Genome Variation

      巻: 9 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41439-022-00206-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 当院で経験したBirt-Hogg-Dube症候群の3家系2022

    • 著者名/発表者名
      村上遥香、井上沙聡、安齋純子、松永達雄、小山孝彦、古屋充子、山澤一樹
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第67回大会
  • [学会発表] BRCA病的バリアント陽性者における乳癌の臨床病理学的特徴2022

    • 著者名/発表者名
      小谷依里奈、松井哲、村田有也、笹岡綾子、村上遙香、井上沙聡、山澤一樹、木下貴之
    • 学会等名
      第60回日本癌治療学会
  • [学会発表] 症候群性または非症候群性難聴を呈したのMTTS1遺伝子バリアント7家系の報告2022

    • 著者名/発表者名
      南修司郎、喜田有未来、井上沙聡、奈良清光、務台英樹、山澤一樹、松永達雄
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第67回大会
  • [学会発表] がんゲノムプロファイリング検査でATM遺伝子に病的バリアントを認め家族への介入につながった遺伝性膵癌の一家系2022

    • 著者名/発表者名
      村上遥香、井上沙聡、川口義樹、須河恭敬、吉田康祐、松井哲、松永達雄、山澤一樹
    • 学会等名
      第46回日本遺伝カウンセリング学会
  • [学会発表] 難聴の遺伝学的検査で検出されるバリアントの評価と遺伝カウンセリング2022

    • 著者名/発表者名
      松永達雄、奈良清光、務台英樹、井上沙聡、村上遥香、村松玲子、山本修子、和佐野浩一郎、南修司郎、加我君孝
    • 学会等名
      第123回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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公開日: 2023-12-25  

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