研究課題
ウェルナー症候群(WS)は常染色体劣勢遺伝の希少な早老症である。平均寿命が延長する一方で、陽性率が87.6%にも上る難治性潰瘍、疼痛をはじめとした足部の症状はWSのQOLを妨げるとされる。そこで、ウェルナー症候群の方の潰瘍発症の経過とその実態を明らかにし、ウェルナー症候群の方の足に合うフットウェアを開発し、潰瘍を予防することを目的としている。今年度は臨床で実態調査を実施する予定であった。WSの方の足の状態の確認と、歩行計測等を実施する予定で倫理審査に申請し、まず数名から調査の同意も得られていた状況であった。しかし、COVID-19の影響で調査が中断となったため途中で計画を変更し、QOLに関する質問紙調査を実施した。WSのQOLについては、今日まで定量的な評価はされておらず、看護支援についても検討されていないためである。自覚症状の調査には簡易な質問票を、健康関連QOLはSF-36を、足部・足関節QOLはSAFE-Qを用いた。希少疾患であり人数が少ないため、調査対象者は調査対象施設の外来受診患者に加え、患者会に登録している方たちにもご協力いただいた。12名から回答が得られ(回収率 54.5 %)、結果については2021年度に国際学会で公表を予定している。考察として、WSのQOLの低さは痛みなどの足の自覚症状と関係があった。そして、身体的健康はWS全体で障害されていたが、精神的健康は男性のみ低値であり、男女の社会的役割の差が精神的健康に影響している可能性がある。さらに、役割/社会的健康は足部・足関節QOLが低い場合のみ低値であった。
2: おおむね順調に進展している
COVID-19の影響で計画していた臨床調査は実施できていないが、計画を変更し、ウェルナー患者のQOLとその関連要因を明らかにすることができた。これは、今後の看護支援に重要な知見になると考えている。
2021年度もCOVID-19の影響が続いており、臨床調査再開の見込みが立っていない。そこで、フットウェアのタイプや床の状況が足に与える影響について、健常者で調査を実施していく。これを明らかにすることで、ウェルナー症候群の方への看護支援に有用な知見が得られると考えている。
COVID-19の影響で臨床調査が中断となったため、少し残額が出ているが、計画を変更し、健常者における調査を開始しているため、2021年度にその分も使用する予定となっている。
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