本研究は、2つの目的で実施していた。第1に、外来通院している間質性肺疾患患者家族を対象に、患者の酸素療法の有無により情報ニーズの様相が異なるかを調査した(目的A)。第2に、間質性肺疾患患者の家族において、相談者の有無により家族のHealth Related Quality of Life(HRQOL)に差があるかを比較した(目的B)。 最終年度、目的Aの詳細な解析後、国際雑誌へ投稿した。論文の概要は以下の通りである。解析対象は、65名の患者とその家族介護者であった。間質性肺疾患の分類としては、特発性間質性肺炎27名(41.5%)、膠原に伴う間質性肺疾患34名(52.3%)、過敏性肺炎4名(6.2%)であった。患者とその家族の関係は、配偶者(67.7%)が最も多かった。患者とその家族介護者の情報ニーズは、第3位までは共通であったが、それ以外は異なっていた。患者の長期酸素療法群では、「エンドオブライフケアとアドバンス・ディレクティブ」「息切れ、咳、疲労の管理方法」に対するニーズが高かった。家族介護者の関心は、長期酸素療法群では「食事と栄養」、長期酸素療法なし群では「急性増悪」であった。結論としては、患者とその家族介護者、長期酸素療法によって情報ニーズの様相が異なっていた。 目的Bについて、Medical Outcomes Study 36-Item Short-Form Health Survey(SF36)で評価した現時点での解析結果は以下の通りである。患者において、身体機能、日常役割機能で中央値40点未満を示し、3コンポーネント・サマリースコアの身体的側面で中央値40点未満であった。家族において、中央値が40点未満となる項目は無かった。相談者の有無別で差は認められなかった。今後、さらなる解析を予定している。
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