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2020 年度 実施状況報告書

原発開放隅角緑内障患者の主観的・客観的視覚を基盤とした治療支援プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K19093
研究機関九州大学

研究代表者

松尾 和枝  九州大学, 医学研究院, 講師 (90389502)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード緑内障 / 点眼アドヒアランス / 視線計測
研究実績の概要

本年度は、POAG の自覚症状・他覚症状の探索および点眼治療中断理由の抽出を目標として、点眼治療中の患者へのインタビューや診療録からの情報収集を予定していた。しかし、感染症の蔓延で、患者や研究協力者との面談が困難になったことから、以下の通り研究計画を変更し実施した。
①文献および過去のインタビューデータから点眼治療中断の理由を構造化  質的記述的分析を行った結果、点眼治療中断の理由は三段階で示すことができた。直接的な理由は【点眼忘れ】と【点眼しない】の2つのカテゴリである。【点眼忘れ】には、「点眼薬が多い」「点眼時間が様々」であることから「点眼の習慣化ができない」ことが関係していた。【点眼しない】には、「点眼技術が不十分」「点眼による不快感」「副作用の忌避」「点眼薬の効果への疑念」が関係していた。これらの理由の根本には、{自覚症状がない}{知識不足}{点眼治療への動機づけが不十分}があることが明らかとなった。
②眼科医師および患者家族への聞き取り調査からPOAGの自覚症状の手がかり探索  7名の眼科医師、2名の患者家族に聞き取り調査を行ったところ、自覚症状を訴える患者はほとんどいなかった。一部、軽度の眼痛、頭重感を訴える患者がいること、患者自身が「簡易版ノイズフィールドチェック」(白土城照監修)を行い見え方の変化に気づいた例があった。
③視線計測計の適用に関するシミュレーション  視線計測計(Talk Eye Lite/眼鏡タイプ)を使用し、手元および3mほどの距離(室内の日常生活行動を想定)の対象物への視線計測を行った。その結果、頭部の固定はせずに、装着したまま行動する際の視線を計測するほうが、誤差が少ないことが分かった。以上から、当初の目標には到達しなかったものの、今後の患者への具体的な調査内容や、健常者および患者を対象とした視線計測方法のてがかりを得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度に予定していた、POAG患者へのインタビューや診療録からの情報収集を行うことができなかった。しかし、緑内障治療がテーマの眼科医の研究会で講演を行い、複数の眼科医との意見交換や研究協力依頼ができたことにより、今後の患者への調査につながる成果が得られた。
また、点眼治療中断理由を質的に分析する過程で、特定の看護現象を理論化することに長けた研究者による指導や、研究会での発表・討議により、一般化した結果を得ることができた。そのことから、今後患者へのインタビューを行う際に、効率的かつ効果的な調査ができると考える。
視線計測については、所属施設の教員等の協力を得て、シミュレーションを行い、具体的な計測方法を明らかにできたことから、次年度の健常者への計測につながる成果が得られたと考える。

今後の研究の推進方策

①POAG の自覚症状・他覚症状の探索、点眼治療中断理由の補足
方法:半構成的面接・視野検査、臨床所見の収集 対象:POAG で眼科外来通院治療を行っている患者30 名(初期・中期) 自身の判断で研究に参加できる概ね18 歳から80 歳の患者を研究協力者である眼科医から紹介してもらう。研究参加およびカルテ閲覧について同意を得て行う。内容:自覚症状及び見え方について、受診および点眼治療の実施状況、治療上の困難、治療継続に対する考え・感情、受診および点眼治療中断の理由等。分析:主に自覚症状や見え方について、主観的情報と臨床所見をあわせて分析。
②POAG各病期患者への視線計測による客観的情報の探索
方法:視線計測 対象:健常者10 名、POAG 患者30 名(初期・中期) 方法:グラスタイプのアイトラッキングシステムを装着し、日常生活行動(歩行・階段昇降、食事、排泄動作等)における視線計測 場所:九州大学大学院医学研究院保健学部門・保健学科棟 分析:視野検査、視線計測(視線・停留時間等)、計測時の見え方等をあわせて分析。

次年度使用額が生じた理由

研究に伴う、旅費および人件費を使用しなかったため。翌年度の研究協力者に対する謝金などの人件費に充当予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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