研究課題/領域番号 |
20K19111
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
二村 明徳 昭和大学, 医学部, 講師 (90792888)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 言語 / 認知症 / 日本語 / 神経言語学 / 高次脳機能 |
研究実績の概要 |
認知症の生物学的指標の検討と言語学的時間感覚の検討の両面で研究を行いました。 1.アルツハイマー病は認知症の中で最も多い疾患です。アルツハイマー病の認知機能障害は、大脳にアミロイドβ蛋白やタウからなる神経原線維変化が蓄積されることが特徴とされています。我々は、アミロイドβ蛋白の単量体であるAβ42毒性コンホマーがアルツハイマー病の発症を促進させ、タウ病態の引き金を引くことで、さらにADの病勢を加速させている可能性があることを発見しました(A.Futamura et al. JAD, 2021) 2.認知症のなかで2番目に多いレビー小体型認知症の生物学的指標である脳MRI、脳血流SPECT、髄液バイオマーカーをアルツハイマー病と比較しました。するとレビー小体型認知症では、認知機能がアルツハイマー病と同程度の低下でも、大脳の後方領域の脳血流が低下し、高い髄液タウの値は海馬の萎縮と相関していました(A.Futamura et al. JAD, 2021) 3.時間感覚の臨床研究について先行研究をまとめ、時間感覚と記憶の関係、認知症における時間感覚の検討について第7回時間言語学フォーラムで発表し、言語学の先生方と討議を行いました。 4.時間感覚が障害された臨床例を検討しました。脳梗塞後に時間が早く過ぎると感じる方、発達障害における時間に対する内観、レビー小体型認知症における時間感覚の喪失、その特徴を「時間の距離感の喪失」としてまとめ、「言語と時間」の共同執筆者となりました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時間感覚と言語学との関連について言語学の先生方と議論を深めた。 認知症における言語学的時間感覚について課題を作成し検討を始めた。
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今後の研究の推進方策 |
認知症における言語的時間感覚の測定法の開発をすすめていく。 次年度中に適切な課題文の作成をおこない測定法の妥当性について検討していく。 また生物学的指標の検討をおこない妥当な被験者の候補を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した物品の支払いが次年度になってしまうため。また、検査の妥当性を検証しその結果を学会発表していくための費用とする。
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