研究課題/領域番号 |
20K19111
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
二村 明徳 昭和大学, 医学部, 講師 (90792888)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 言語 / 認知症 / 日本語 / 神経言語学 / 高次脳機能 |
研究実績の概要 |
「ことば」によって、起きた出来事を知り、それらの時系列について、我々は理解することが出来る。マクダカートは、「過去・現在・未来」に区別される時間を「A系列課題」と命名し、その実在性について疑問を呈している。時間を感知する感覚器は存在せず、時間は大脳の想像の産物であると考えられる。しかし、時間認知に特異的な脳部位は知られておらず、時間感覚のメカニズムは明らかになっていない。 そこで我々は、健常高齢者と認知症者を対象に、文章を読んだ際に、その出来事が、いつ起きた出来事であるのかを質問し、9段階で答えていただき、「ことば」から感じる時間感覚について検討した。課題文では、「きょう」や「あした」などの時間を表す名詞や、「する」「した」などの時制を表す助詞を用いて、文法的に正しい文とした。 すると健常高齢者群は、細かいスケールで時間を区別し、対象者ごとの差は少ないことが分かった。一方で、認知症者においては、現在から遠い時間をより遠くに感じる群と、時間の正確な区別ができない群とに分かれることが分かった。脳機能画像である脳血流シンチの検討によって、時間感覚の正確性は、大脳内側面(楔前部や帯状回後部)の血流低下によって予測できることが分かった。 認知症者の言語的な時間感覚の先行研究においては、心的時間旅行との関連で、記憶の中枢である海馬との関連を示唆する結果が多い。しかし、我々は大脳内側面が関与する可能性を新たに示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究内容をまとめ投稿できる状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
課題文章を増やし、ひろく時間感覚を検査できるような課題にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ窩により学会がWeb参加となり出張費が少なかったため。被験者の参加がボランティアで集まり謝金が必要なかった。繰越金(382,507円)は論文の投稿費とする予定である。
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