研究課題/領域番号 |
20K19112
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
猪飼 やす子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 助教 (10862013)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 特発性肺線維症 / 尊厳 / 呼吸器看護 / 慢性看護学 / 成人教育 |
研究実績の概要 |
1. 特発性肺線維症をもつ生活者を援助する医療専門職の育成に関する文献レビューの実施 特発性肺線維症をもつ生活者を援助する看護師の育成に関する現状の把握と、看護実践の実態と教育ニーズ調査の質問項目を検討するため、文献レビューを実施した。文献数は2件と限られており、看護師育成に関する調査はみあたらなかった。しかしながら、難病の特発性肺線維症をもつ生活者を援助する医療者を育成する必要性が述べられている文献が存在し、それらを参考に、質問紙調査の質問項目の検討と調査票の作成に生かすことができた。 2. 特発性肺線維症をもつ生活者への看護援助の実態と教育ニーズに関する調査の実施 1.の結果を参考に、特発性肺線維症をもつ生活者への看護実践の実態と教育ニーズを調査し、課題を明示することを目的に、慢性呼吸器疾患看護認定看護師および慢性疾患看護専門看護師(サブスペシャリティ:呼吸器疾患)の合計272人を対象に、調査を実施した。 実施方法は、2020年9月~12月に無記名自記式質問紙調査を依頼し、郵送またはWebにて回答を求めた。調査内容は(1)属性、(2)看護実践の有無(看護全般20問、診断時4問、抗線維化薬3問、在宅酸素療法4問、急性増悪後3問の合計34項目)、(3)自由記載とし、4件法で尋ねた。 回収率49.3%(144件)、有効回答率93.1%(134件)であり、80%以上の看護実践項目は、看護全般7項目、在宅酸素療法4項目、急性増悪2項目であった。看護全般の「日常生活動作に関すること」88.8%が最も多かった。同じく「アドバンスケアプランニング」41.8%、診断時の「病状説明後の面談」49.3%、自由記載は16人から得られた。34項目中11項目が50%以下であり、実践内容にばらつきがみられた。本調査により、看護実践内容および教育ニーズを把握でき、看護師育成プログラムの作成に活かす準備ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、特発性肺線維症をもつ生活者を援助する医療専門職の育成に関する文献レビューを実施し、この結果をもとに、質問紙調査票を作成することができた。また、慢性呼吸器疾患看護認定看護師、および呼吸器疾患をサブスペシャリティとしている慢性疾患看護専門看護師を対象に、特発性肺線維症をもつ生活者への看護援助の実態と教育ニーズに関する質問紙調査を実施することができた。以上により、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、質問紙調査の作成のために実施した特発性肺線維症をもつ生活者を援助する医療専門職の育成に関する文献レビュー、および特発性肺線維症をもつ生活者への看護実践の実態と教育ニーズに関する質問紙調査の研究成果の学会発表を行う予定である。 また、看護実践の実態調査と教育ニーズに関する質問紙調査の結果から、特発性肺線維症をもつ生活者へのDignity-Centered Careを基盤とした看護師育成プログラムの教材の作成、および教材の評価方法に関する検討を進めていくことである。加えて、看護実践の実態と教育ニーズに関する質問紙調査の論文を執筆し、投稿する計画である。 作成する教材、および看護師育成プログラムの実施方法については、研究計画では集合教育での実施を計画していたが、新型コロナウイルス感染症による影響を鑑み、オンデマンド等遠隔教育への変更を検討する必要があると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費は、パルスオキシメーターを購入予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により需要が増えているため、購入を見合わせた。2021年以降に購入予定である。 旅費は、参加を予定していた学会がWeb開催となり、交通費・宿泊費が不要になった。教材の作成費用等で執行予定である。 その他では、英文論文の作成にかかる予算を執行できなかった。2021年度以降に執行予定である。
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