目的は、①特発性肺線維症療養者への看護援助の実態と教育ニーズを呼吸器疾患を専門とする認定看護師(CN)と専門看護師(CNS)を対象に調査し課題を明示する、②特発性肺線維症療養者の尊厳に着目した看護(Dignity-Centered Care)を基盤とした看護師育成プログラムを作成し、看護実践項目数と自己効力感の量的変化と看護実践の変容をインタビューにより質的に分析し両者を統合する混合研究法により評価することである。 ①回収率は49.3%(144件)であり134件を分析対象とした。看護実践34項目中13項目で80%以上実施され、日常生活動作に関する援助が88.8%と最も多く、配置場所や呼吸器看護外来の設置などの影響が示唆された。教育ニーズでは関わる機会の多い群で薬物治療と開発のニーズが高く(p=0.030)、人材や学習機会が不足していた。 ②新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため集合教育からeラーニングによる教材視聴に変更し、開始を延期した。呼吸器疾患を専門とするCNとCNSに参加者を募り、受講群(介入群)と受講しない群(対照群)に各群26人を無作為に割り付け、看護実践項目数と自己効力感を介入前後と介入1か月後に評価する2要因層化ランダム化比較試験(量的データ)と参加者選定モデルによる半構造化面接(質的データ)を統合する混合研究法により評価した。全体評価は8.7点(0~10点)であり、各単元が短めで学び易い、理論などで用語がわかり難いとの回答を得た。看護実践項目の合計ならびに自己効力感では有意差を認めず、抗線維化薬導入への看護援助では介入群で有意に増加していた(p=0.045)。看護実践の変化がみられたのは61.5%で、コンテンツは適切と81%が回答しハンドブックを作成できた。本プログラムは、知識を深め援助行動を促進するも看護実践は療養者と関わる頻度に依存するとメタ推論された。
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