研究課題/領域番号 |
20K19116
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研究機関 | 豊橋創造大学 |
研究代表者 |
堀元 美紗子 豊橋創造大学, 保健医療学部, 助教 (90802637)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 訪問入浴 / 判断指標 / 看護師 |
研究実績の概要 |
昨年度は、対象の入浴方法やサービスにはどのようなものがあるか等、在宅における入浴の実態を文献検討したところ、自宅での入浴、施設内入浴(デイサービス等)、訪問入浴介護等の方法があり、自立度等によって使うサービスが異なるが、訪問入浴と施設内入浴での事故発生率は訪問入浴の方が事故発生率は高かった。訪問入浴介護の利用者は要介護5と要介護4の利用者で約8割を占めており、医療依存度の高い対象者が安全に訪問入浴介護サービスを受けられるよう適切な入浴可否判断の指標が必要となると考えられた。脳梗塞患者も多く利用しており、本研究では脳梗塞患者も含む訪問入浴介護利用者に対象者を広げ、訪問入浴介護を行う際の看護師を対象とした教育プログラムの開発を行うこととした。また訪問入浴介護に従事する看護師の具体的な判断指標や、どのような点に迷いを生じているのかについては文献検討で明らかにならなかった。 そこで東海地方4県(愛知県、三重県、岐阜県、静岡県)の訪問入浴介護事業所184か所に従事する看護師368名を対象に無記名の自記式質問紙調査を行った。調査期間は2021年3月に実施し、看護師が対象者の入浴可否判断に用いる判断指標とその判断基準、訪問入浴介護に従事していて入浴可否判断に迷った事例や急変した事例について尋ねた。結果は、回答数は75人(回収率20.3%)であった。血圧等の循環動態や呼吸回数等の呼吸状態を判断指標に用いる看護師が多かった。また看護師個人が判断をしているだけでなく、事業所内の判断指標に準じて行っている、あるいは主治医からの指示書をもらい判断をしている看護師も多かった。しかし判断指標があっても、数値化できないもの(会話など)の違和感があるときや、ターミナル期の患者など、入浴が困難な身体的状態であっても本人や家族が入浴を希望するときなどに判断に迷っていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が継続し、研究全体に費やす時間の減少、研究対象者の確保の困難があり研究遂行の困難があった。そのため、アンケート調査の対象地域を東海4県に小規模にしぼり、アンケート調査を行った。看護師の判断の実態を明らかにすることはできたが、その信頼性・妥当性についてはまだ明らかにできなかったため、今後研究計画を修正する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の調査で得られた結果をもとに分析し、判断指標を可視化していきたいと考えている。また今回は東海4県のみの調査となっているため、今後は大規模調査を行い、信頼性、妥当性を高めていきたいと考える。また、訪問入浴では利用者本人や家族の意思決定も大きくかかわることも明らかとなったため、看護師が判断に迷う場面を詳細に分析し、看護師の教育のニーズについてさらに明らかにしてプログラムの中に加えていきたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、医療従事者である看護師からの研究協力が得られにくいことを考え、調査の規模を縮小したため、調査にかかる郵送費や印刷費が少なくなった。また学会等もオンライン開催になることが多く、旅費等の支出がなかった。 次年度は大規模調査を行うこと、また研修会等の開催を計画しているため、アンケート調査等の郵送費や研修会場の会場費、謝金で使用していく予定である。
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