研究課題/領域番号 |
20K19120
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研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
中西 一 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (30644976)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 食事 / 眼球運動 / 情動反応 |
研究実績の概要 |
前年に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大によりパーキンソン病患者のデータ収集を予定していた施設への出入り制限と、同様にコントロール群も地域の高齢者でのデータ収集を予定していた為に接触が困難となった。また対象とした動作がマスクを外して行うもののため、調査方法にも工夫が必要となった。 実際の食事場面での調査では感染対策のため制限があるため、マスクをつけた状態での模擬的な食事場面を設定し、パーキンソン病患者群とコントロール群について眼球運動を調査した。結果、パーキンソン病患者では動作中の速い眼球運動の数が多く、移動距離が短いことが明らかとなった。パーキンソン病では反復運動時に「すくみ」が起こることが報告されており、食事動作中の眼球運動においても同様のことが起こっていると考え、この内容を2021年11月に行われた第5回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会において報告した。 またこの模擬的な食事場面での調査の中で、食事場面における眼球運動について、パーキンソン病による上肢の運動障害の要因を除外することが困難なことが明らかとなった。 このため次年度では、料理の写真を用いた食事課題(料理と食具を選択する課題)を作成し、運動をボタンを押すことに限局して、課題回答の成否と反応時間を計測することを行う。また眼球運動、瞳孔反応に加えて皮膚コンダクタンスを同期することで、食事における眼球運動および情動反応の影響を明らかにすることとした。パーキンソン病では大脳基底核と辺縁系との機能的な連絡が強いため運動に情動反応が影響する。また、情動反応は眼球運動の瞳孔反応にも影響が見られることから、パーキンソン病患者への食事自体の負担感についても検討できると考えている。 現在、模擬的な食事場面、写真も用いた課題でのデータ収集を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では2年間でパーキンソン病患者の食事、歯磨き時の眼球運動を計測し、介入を行う予定であった。しかし新型コロナウイルスの蔓延によりパーキンソン病患者のデータ収集を予定していた施設への出入りの制限と、同様にコントロール群も地域の高齢者でのデータ収集を予定していた為に接触が困難となった。また感染症対策の必要性、得られるデータの妥当性の点から検証方法を変更したため、遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年8月までに、パーキンソン病群とコントロール群の模擬的な食事場面での眼球運動の計測と写真を用いた食事課題でのデータ収集を行い、パーキンソン病患者の食事場面での眼球運動異常と情動反応から、上肢機能や嚥下機能以外の食事動作の阻害要因を明らかにする。また、結果を論文にまとめて年度内に英文投稿する。論文作成と同時進行で、パーキンソン病患者が食べやすい食事環境に関する介入研究を計画、実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの感染状況により、調査が予定通り進まなかったため次年度使用額が生じた。使用計画は眼球運動のデータ解析ソフトの単年度ライセンスの購入(400,000円)、データ収集の際の交通費(50,000円)、成果報告の学会発表の参加費と旅費(100,000円)、論文発表に際しての英文校正費(200,000円)、その他(300,000円)として使用する。
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