本研究の目的は、近年の相次ぐ大災害に加え、近い将来にも災害発生の切迫性が指摘されている我が国において、医療的ケアの必要な子どもの親が、災害時に自分や子どもに起こりうる危機について認識し、そのうえで自ら災害の備えについて考える力に働きかけ、『主体的に災害へ備える力』を育むプログラムの開発にあった。 これまで、申請者は、医療的ケアの必要な子どもの親における災害の備えについて概念分析し、概念モデルを作成した。災害時に、【子どもをケアするための知識】を得たことで【災害に対する意識】を抱き、【災害を身近に備える時間や環境】の中でより感情が深まることが備えるための先行要件となる。そして、【医療的ケアの継続に必要なものの準備】や【子どもを取り巻く人と体制づくり】を行うことで、【災害時を想定したシミュレーション】を行い、またそのシミュレーションを通して準備や体制を強化していく。その結果、【災害への対応力の向上】となり、【災害時も子どもの医療的ケアの継続】に繋がることが明らかとなった。この結果については、既に学会発表、論文発表で報告した。 この結果を基に、プログラムの原案やプログラム前後で使用する質問紙の項目について、災害の専門家、医療的ケアに実際に関わっている医療従事者、医療的ケアの必要な子どもの親と対面やオンライン上で話し合いを重ねていたが、作成、実施には至らなかった。
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