研究課題/領域番号 |
20K19130
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
近藤 桃子 三重大学, 医学系研究科, 助教 (50817947)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 冷え症 / 妊婦 / 保温 / 加温 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、研究計画調書で示していた「1.臨床助産師の冷え症ケアの実態調査」を行った。 産育習慣として戦前から一般女性には、妊娠・出産・産褥期には冷えの予防は必要であるという考えが伝わっている。また助産師も『妊娠期には体を冷やさないよう過ごすように』と、保温・加温に重きを置いた助産ケアや保健指導を実施しており、冷え症ケアは多くの助産師に共通する経験知である。しかし「妊娠期に身体を冷やさないように」という認識をどこで学んだか、ケアを行う対象の選定方法や効果の狙い、ケアそのものの内容や行う頻度、施設によるケアの特性が存在するか等について詳細に調査された研究は少ない。そこで、臨床で行われている妊婦に対する保温・加温ケアについて、全国的な実態調査を行うこととした。 目的は「妊婦に対する冷え症ケアの実態を明らかにすること」としているため、実際に妊婦へ冷え症ケアをしているであろう、「現在、産科で働いている助産師」を対象にした。また、地域・臨床現場・経験の差によるケアの実態の差も明らかにすべく、「日本全国の病院・診療所・助産所」に研究を依頼することとした。 対象助産師とその勤務先については、統計解析ソフトウェア「R」を使用して、必要サンプル数を計算した。その結果、病院635施設、診療所248施設、助産所211施設に文書での調査依頼を行った。結果、病院190施設、診療所31施設、助産所71施設より同意を得られ、計2,800名(令和2年度3月時点)の助産師にアンケート配布を行った。 当初の調査期間は令和2年6月頃までの予定であったが、COVID-19感染拡大の影響があり、調査は令和3年2月から開始され、現在アンケート回収の最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、令和2年内に、「研究1.臨床助産師の冷え症ケア実態調査」「研究2.深部体温較差が妊娠経過異常に及ぼす影響の調査」を行う予定であった。しかしCOVID-19感染拡大の影響で、医療現場がひっ迫している中での臨床助産師への実態調査依頼、並びに感染への不安を持つ妊婦さんへの深部体温測定依頼が難しく、調査期間を大幅に延期することとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
「研究1.臨床助産師の冷え症ケア実態調査」は令和3年6月までに、データ収集(アンケート調査返送)の完了、データ入力・一部分析を行える予定である。また、博士後期課程の課題研究ともなっているため、早々に論文投稿を行う予定である。 「研究2.深部体温較差が妊娠経過異常に及ぼす影響の調査」については、COVID-19感染拡大の状況を鑑みつつ、妊婦さんが安心して受けられるよう感染予防をより明確にした上で、協力施設への依頼、調査を行いたいと考えている。 「研究3.冷え症セルフケアの深部体温への効果の検証」については、研究1で得られた臨床助産師が行っている冷え症ケアの抽出から、妊婦さんが実行しやすいケアを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初令和2年内に、「研究1.臨床助産師の冷え症ケア実態調査」「研究2.深部体温較差が妊娠経過異常に及ぼす影響の調査」を行う予定であった。しかし、COVID-19感染拡大の影響で、医療現場がひっ迫している中での臨床助産師への実態調査依頼、並びに感染への不安を持つ妊婦さんへの深部体温測定依頼が難しく、調査期間を大幅に延期することとなった。そのため、研究1の調査の郵送費、研究2の機器にかかる費用および調査協力をいただいた妊婦さんへの謝礼等で使用される予定であった予算が、研究1の調査郵送費のみが使用されたため、次年度使用額が生じた。 令和3年度には、全国調査が終了し、研究2に着手予定である。そのため研究1では、データ統計分析、論文・学会発表等にて、研究2では機器購入に関連した予算の使用を行う予定である。
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