本研究の目的は、産科混合病棟の産科以外の患者の看護を可視化し、分娩などの「産科患者」による「産科以外の患者」への影響(看護内容や看護時間の変化)を明らかにし、産科混合病棟の看護人員配置検討のための基礎的データを導き出すことである。 2022年度までに、3つの病棟(外科系病棟、内科系病棟、産褥病棟)で調査を実施した。この調査により、①ビーコンとスマートフォンを用いて看護師・助産師の勤務中の滞在場所・時間、②自記式による看護行為回数、③マンツーマンタイムスタディによる看護師・助産師の看護業務と看護時間、の3つのデータ測定を実施することができた。各病棟35名の看護師(助産師)に協力いただき、各病棟で2週間の測定を実施した。2023年度は、残る産科病棟(総合周産期母子医療センター)で①ビーコンとスマートフォンを用いて看護師・助産師の勤務中の滞在場所・時間、②自記式による看護行為回数、③マンツーマンタイムスタディによる看護師・助産師の看護業務と看護時間、の3つのデータ測定を実施した。 結果、各病棟の看護の特徴が明らかとなった。内科病棟の日勤帯看護師の滞在場所・時間測定の結果、看護師のべ153名の平均滞在場所は、「病室158.2分」、「休憩室15.9分」、「問診・会議室3.1分」、「処置室19.7分」、「浴室・シャワー室2.6分」、「廊下 73.5分」、「ナースステーション188.1分」、「その他0.7分」、「病棟外63.2分」であった。 各病棟で実施されている看護行為内容の特徴は異なっていたが、「看護計画・記録」に費やす時間はどの病棟も多かった。各診療科の看護の特徴をふまえ、産科混合病棟の人員配置を工夫する必要が考えられた。
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