レストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome:以下RLS)は、睡眠障害をはじめ健康の質に大きく影響を及ぼす疾患であり、女性に多く、特に妊娠期に顕在化する。妊娠期にRLSが顕在化する要因の一つとして妊娠中のビタミンDの状態とRLSの有病率との関連を調べることを目的に本研究を計画した。 本研究は、妊婦健診にて産婦人科に通院中の妊娠36週ごろの妊婦を対象として、基本属性(現病歴、既往歴、家族歴、喫煙歴、パートナーの有無など)、RLSスクリーニング、睡眠の状態についての項目を含む自己式質問票を用いた質問票調査と血液生化学検査(25OHビタミンD1,25-(OH)2ビタミンD、葉酸、フェリチン、鉄、カルシウム、リン、アルブミン、クレアチニン、eGFRなど)及び、妊娠・分娩の経過について、2020年10月から2021年9月の期間に研究参加に同意の得られた合計205名の妊婦よりデータの収集を行った。 本研究対象者におけるRLSの有病率は、35人(17.2%)であった。RLS群では、非RLS群と比較して、血清25(OH)Dと葉酸の濃度が低いことがわかった。また、妊娠中から出産後もRLS症状が持続する女性5名のうち、4名は、血清の25(OH)D値が10ng/mL未満であり、5名全員の葉酸値は、6ng/mL未満であった。このことから、ビタミンDと葉酸の欠乏は妊婦のRLSと関連し、さらには、産後まで継続するのRLS症状と関連する可能性があることが示唆された。最終年度には、本研究から得られた成果を英語論文にまとめ、国際科学雑誌にて公表した。
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