研究課題/領域番号 |
20K19175
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
笠井 久美 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (10795339)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 二分脊椎症 / 性教育 / 現状 / ニーズ / 介入 / 評価 |
研究実績の概要 |
本研究では、二分脊椎者の特徴を踏まえた性教育プログラムを開発を目指している。その一環として、2020年度に二分脊椎者の性教育の現状とニーズの把握を目的にインタビュー調査およびアンケート調査を実施した。2021年度はその結果を集約した。 男性9名、女性5名のインタビューデータから、二分脊椎症者は、体や性についての健常者との違い、陰部・臀部の清潔、性行為の工夫や注意点、遺伝、挙児、不妊・不妊治療、病気や障害について他者から理解を得ることについて特有の性教育ニーズがあることが明らかになった。医療機関や患者会で当事者のニーズ、年齢、発達を踏まえた性教育の実施を検討する必要がある。また、当事者が必要な時に情報を得たり、情報交換ができる方法の検討、ピア教育の実施が有効であると考えた。また、48名のアンケートデータからは、人間関係、暴力と安全確保について最も教育を望んでいることが明らかになった。30歳未満の者は、人間のからだと発達についての教育をしてほしいとより望んでいた。顕在性二分脊椎症と診断された者とおむつ・パッドを使用している者は、価値観、人権、文化、セクシュアリティおよびジェンダーの理解についての教育をより希望していた。交際経験がある者は、ジェンダーの理解、健康とウェルビーイング(幸福)のためのスキル、性と生殖に関する健康の教育をより望んでいた。これらのニーズの中から、性行為を含む性の健康をテーマにしたオンデマンド型の性教育の実施に向けた教材作成と実施計画を立案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は新型コロナウィルス感染症流行もあり、研究協力者の募集と調査に予定以上の時間を要した。しかし、2021年度は調査結果の報告をまとめ、ニーズの高い性教育に焦点を絞り、オンデマンド型の性教育の実施に向けた準備を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
アンケートおよびインタビューデータから、二分脊椎症者の性教育に関するニーズを把握した。また、その一部について性教育の教材作成と実施と評価の計画を立案した。今後、性教育の実施と評価を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、2020年度で得たデータの分析と集約、2022年度の性教育の実施と評価の準備が主であったため、予定よりも使用額が少なかった。しかし、2022年度は性教育の実施と評価をするため、リクルート、アンケート調査のための印刷費や郵送費、アンケートシステム使用料、研究協力者への謝金が生じ、支出が多くなる。
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