研究課題/領域番号 |
20K19180
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
小田 梓 公立小松大学, 保健医療学部, 助教 (60845931)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 1型糖尿病 / 睡眠 / CGM |
研究実績の概要 |
令和3年度の研究計画は1型糖尿病をもつ小児の血糖-睡眠モニタリングの測定を実際に行うことであった。当該年度においては、1型糖尿病患児2名(14歳女児、7歳女児)の睡眠脳波の測定を行った。1例につき3晩の睡眠脳波を得ている。また、コロナ禍による病院での調査遂行の困難さを鑑み、研究活動を継続していくため、健康成人における血糖-睡眠同時モニタリングを行った。当該研究と同様の手法を用いた研究であるが、異なる点として、1型糖尿病患児が研究時にすでに治療としてCGM(Continuous Glucose Monitoring)を使用しているのに対し、健常成人には新たに血糖測定のデバイスとしてCGMを導入する必要があった。令和2年度中に所属施設の倫理審査から承認を受け、令和3年度、研究分担者とともに調査を進めてきた。睡眠のトライアル計測を含め、17名に対して調査を終えている。1名につき、7日間のCGMデータと、その期間に含まれる3日間の睡眠脳波データを得た。当初のデバイスとしていたアクチグラフを「脳波」に特化して研究を進めるために、スリープウェル社のSleepScopeを用い、1型糖尿病患児においては1晩あたりおよそ1000の睡眠ステージのデータを得た。そのデータをCGMによって得たグルコース値を重ねて折れ線グラフに表し、その連動性を観察した。令和4年度においてその解析を進め、所属施設の研究者に脳波や睡眠構造の解析などの指導を受けつつ、データ収集に努めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れていると評価したのは以下の理由による。遅れている点:令和2年度に予定していた1型糖尿病をもつ小児の家族に対するインタビュー調査が行えていない。これは、コロナ禍による対面での面接が困難であったためである。順調な点:令和3,4年度に予定していた1型糖尿病の小児自身に対する、睡眠脳波の調査が順調に進行中である。コロナ禍に柔軟に対応した点について、当該研究と同じ手法にて健常成人に対して調査を行っている。今後、比較対象として利用可能なデータが収集できている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は研究計画通り、1型糖尿病をもつ小児に対する睡眠脳波データの収集を進めていく。睡眠脳波データは、現在のところ睡眠ステージの解析を終えているが、既に睡眠ステージに加えて、アルファ波、ベータ波、デルタ波など、30秒に1つのデータがとれている。これらの解析には研究者自身では困難であると考え、所属施設の研究者と協力し、指導を受けて研究を進めていく予定である。また、本研究と同時進行として、健常成人における血糖-睡眠モニタリングを進めていく予定である。令和4年度の前半には1型糖尿病の小児に関する血糖-睡眠モニタリングの研究報告(英論文)を投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、睡眠を測定するデバイスとしてアクチグラフを予定していた。そのため、機器を初年度に購入する必要があったが、研究方法の見直しにより、デバイスの変更を行った。SleepScopeはスリープウェル社に機器をレンタルし、測定実績に応じて解析料を納入するシステムであったため、継続的な解析料の支払いが必要となった。令和4年度もこの研究形態をとっていくために、継続してスリープウェル社に解析の依頼をしていく予定である。
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