本研究の目的は、タンザニア妊婦を対象としたグループプログラムを実施するためのゲーム教材を開発・評価することである。また、妊婦が自身の妊娠経過について学ぶ楽しさを得て、自身の体験を他者と共有する場を提供し、正常な妊娠経過の知識とセルフケア能力が向上するかを検証するものである。 2022年度は、本研究の先行研究にあたる研究論文を国際ジャーナルに投稿した。また、グループプログラムの開発の基盤となる文献レビューを進め、プログラム開発の先行研究となるデータをまとめた。さらに、現地の調査対象2施設を訪問しCovid-19による医療状況の影響や、妊娠・出産・育児へ影響を視察し、研究の実行可能性を検討した。また各施設で、妊婦健診時の流れ、保健指導の方法や、使用している教育教材を確認し、現地の看護師・助産師スタッフの意見を聴取することができた。 また、本研究の基礎データとなる事前調査を学会シンポジウムで発表し、アジア・アフリカ圏の助産研究者と意見交換を実施した。 2023年度は、プログラムを開発し、タンザニア農村部での妊婦健診で保健指導を担当している看護職を対象に、1)妊娠期の身体症状の知識と、看護職との会話を促すための視聴覚教材と、2)妊娠期の症状の知識に関する質問紙の内容妥当性と表面妥当性を検証をした。プログラムで使用する教材は、先行研究と事前調査から、プログラムの目的を達成できるよう教材動画、ボードゲーム教材を開発した。結果として、プログラム内容は、現地の妊婦を対象としたものになっており、理解しやすいとの評価を得た。また改善点として、教材動画での解説の速度が速いこと、学習に集中できるようなプログラム実施場所の検討が課題となった。
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