本研究の目的は、「小児集中治療室(以下、PICU)に入室しているこどものセルフケア能力の変化に着目した看護支援モデルを開発すること」である。研究計画は3年間としており、Covid-19蔓延の影響により、初年度の2020年にデータ収集を行う予定であったが、延期し、2021年度に「PICUに入室するこどものセルフケア能力の変化のプロセスとそれに対する看護師の支援の実態調査」に関する9例のデータ収集を行った。 本研究は3年間の中で、支援モデルを構築し、臨床でのプレテストを実施したのち、支援モデルの効果と課題を明らかにすることまでを計画していた。しかし、研究開始後、Covid-19蔓延の影響により、計画していたデータ収集が遅れたこと、また、最終年度においても、研究実施施設のPICUでは面会制限が実施されていたたため、プレテストの実施は本研究期間内では難しいと判断した。 こども、親、看護師9組からのデータ収集において、PICUに入室しているこどもは、年齢にかかわらず主体的に「生きる力」だけではなく「生きていく力」のセルフケア能力を発揮していることが明らかとなった。そして、看護師がこどもの発揮しているセルフケア能力を捉え、双方向の看護を行っている場合はこどもの必要としているセルフケアは満たされ、こどもがセルフケアを発揮しやすい環境となっていた。反対に、こどもの発揮しているセルフケア能力を十分に捉えることができず、看護師による一方向の看護になっている場合は、こどもの必要とするセルフケアは満たされず、こどもは自身のセルフケアを発揮しにくい環境となっていることが明らかとなった。 今後、PICUにおいて、こどもの発揮しているセルフケア能力、こどもの必要とするセルフケアを詳細に明らかにしたうえで、こどもがセルフケア能力を発揮しやすい看護の要素を抽出し、支援モデルを構築したうえで実施に備えていく。
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