研究実績の概要 |
本研究の目的は、多施設共同コホートを用いて睡眠の現況を調査し、睡眠と生活習慣病との関連を横断的・縦断的な統計手法により厳密に解明することである。 1年目(令和2年度):解析データベースの作成、および、データの傾向を施設ごとに確認したところ、生活習慣病の危険因子・背景因子として「睡眠」が同定され、短時間睡眠と肥満症との関連が明らかとなった。 2年目(令和3年度):上記、単施設の結果について、英文原著論文の作成に取り組んだ。また、多施設のデータを合算した解析を終了し、結果の解釈や追加解析の必要性を共同研究者と議論中である。 今後:多施設の結果の論文化を目指す。そして、本研究結果に基づく睡眠保健指導要領を作成し、健常受診者に対する指導の有効性・有用性を検証する前向き研究(2022年度 科研費内定課題)へ進む。 【統計解析】単変量解析、複数の背景因子や時間的影響を考慮した多変量解析により、関連や因果関係を推論した。 【対象集団】 [横断研究]東大病院予防医学センター2012年10月~2020年・亀田総合病院附属幕張クリニック2010~2020年までの期間に人間ドックを受けた全受診者(複数回受診の場合は初回を採用)67,347人のうち、各種検査値(BMI、SBP、DBP、FPG、 HbA1c、LDL-C、HDL-C、TG、UA)や生活習慣(睡眠時間・喫煙・飲酒・運動)に関する質問項目に欠損のある者を除いた62,056人を解析対象とした。[縦断研究] 登録期間(予防医学センター2012年10月~2014年・亀田幕張2010~2014年)に人間ドックを受けた全受診者44,892人のうち、2015~2020年の追跡期間にリピートした24,670名のデータを用いた。ベースライン時点で既に肥満のある者を除いた18,766人(肥満発症2,236人)を多変量解析の対象とし、登録期間以降、毎年の受診時点でBMIを確認した。
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