本研究では国内災害拠点病院の災害派遣準備の実態を調査し、申請者が開発した災害派遣準備指標を活用した災害派遣準備プログラムを開発し、看護管理者の派遣準備を向上させ、看護師個人の災害対応能力向上に寄与することを目的とし、本年度は、#3デルファイ法調査を分析し、災害派遣準備プログラム(試案)を作成し、2か所の災害拠点病院において試行して頂いた。同意基準については#3デルファイ法調査結果が、中央値4以上、IQR 1以下、項目の評価4以上の百分率が80%以上である項目が災害派遣準備プログラムの内容として重要度が高いと判断した。その結果、Ⅰ.病院の災害マニュアルについて(7項目)、Ⅱ.院内の災害関連教育や災害訓練への参加について(12項目)、Ⅲ.院外の災害関連教育や災害訓練への参加について(9項目)、Ⅳ.派遣を意識した平素からの人事管理について(5項目)、Ⅴ.派遣直前の派遣予定ナースの状況把握(4項目)、Ⅵ.派遣間の派遣者の状況把握および派遣者を出した病棟の状況把握について(4項目)、Ⅶ.派遣から戻った直後の派遣者へのフォローアップについて(6項目)、Ⅷ.派遣からしばらく経過してからのフォローアップについて(5項目)Ⅸ.スタッフの派遣準備レベルの掌握について(1項目)と合計53項目の試案が完成した。この試案を用いて、2か所の協力病院で約5か月間の期間で試用し、その後、オンラインによるインタビュー調査を実施した。その結果、実施できた項目、及び実施できなかった項目の確認を行うことができた。また、最後のカテゴリーである『スタッフの派遣準備レベルの掌』』については、コンセンサスのレベルは低かったが、今年1月1日に起こった能登半島地震の派遣に際し、派遣要員を選ぶ時点で特に必要と感じた。との回答が得られた。これらの結果を次の若手研究(派遣準備プログラムの実践と評価)に反映させる予定である。
|