研究課題/領域番号 |
20K19219
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研究機関 | 弘前医療福祉大学 |
研究代表者 |
鎌田 洋輔 弘前医療福祉大学, 保健学部, 助教 (10828495)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳腫瘍患者の家族 / 家族支援 / デルファイ法 / 情報収集項目 |
研究実績の概要 |
本研究は、悪性脳腫瘍患者の退院支援のために、家族が記入する退院後の生活に対する思いや不安の尺度と、それを活用した退院支援アセスメントシートを開発し、その妥当性、信頼性を検討することを目的としている。 初年度である2020年度は、家族が記入する設問を作成し、各設問の必要性をデルファイ法により検討した。研究に協力したパネリストの条件は、脳神経外科病棟に3年以上勤務経験のある看護師とした。調査期間は令和2年6月15日~同年11月30日であった。作成した設問は、脳腫瘍患者の家族の思いや困難について質的に分析した先行研究7文献のサブカテゴリーから作成した92問であり、パネリストには各設問が必要かどうかを5段階尺度で尋ねた。郵送により3回繰り返し、第3回調査の結果から設問に対する合意率を分析した。設問の合意の判断基準は、5段階評価のうち4と5(必要)を選択した割合(合意率)が全設問の平均以上となった設問を合意が得られたと判断し、81問中47問の合意が得られた。なかでも合意が高かった設問は、家族の意思決定支援に関連する設問であった。 3回すべてに回答したパネリストは45名で、看護師勤務年数は14.7±7.6年、脳神経外科/内科病棟での勤務年数は7.3±3.1年であった。 2020年度には、家族が記入する設問として必要妥当なものであることを確認できた。今後2年間で、患者のどの時期にどのような組み合わせで尺度を用いるのが適切かについて考慮の上、アセスメントに活用できるプロトコルを開発し、信頼性を確認の上で実用化を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度に予定していたデータ収集、分析まで完了することができている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、次の段階として有用性の検証を行うとしていた。家族が記入する尺度の設問に関する合意は得られたが、どの時期にどのように活用可能か検討のうえ、悪性脳腫瘍患者の家族への回答を依頼し、実用化を目指す。希少疾患であるため、必要なデータが収集できるよう年間の新規患者数や病院数などから依頼病院数、配布依頼部数などを検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウィルスの影響で対面形式での学会に参加できなかったため、旅費、学会参加費として使用できなかった。 3回実施した郵送法による調査費用が予想よりも高額であったため、学会参加費として計上した費用のうち約5万円を郵送費として活用した。 2021年度は第二段階の調査費用として使用する。洋雑誌への投稿を予定しており、投稿費、英文校正費に使用する。学術集会での発表を予定しており、学会参加費、旅費に使用する。
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