本研究は,研究1として「在宅障害者を対象にした足趾把持力向上のための介入研究」,研究2として研究1に基づいた「足趾把持力向上のメカニズムの検証」,研究3 として研究1および2の対象者で「転倒に関する1年間の前向き研究」,研究4として「地域在住高齢者を対象にした運動行動変容に影響する因子を明らかにする縦断研究」の4つから構成されている。 最終年度を迎える本年度は,研究4である「地域在住高齢者を対象にした運動行動変容に影響する因子を明らかにする縦断研究の2年目のデータ取得,分析を行った。初年度に運動行動変容ステージモデルから群分け,1年後に検証した結果,GDS-5において準備・関心・無関心期が継続していた群(運動習慣なし群)は準備・関心・無関心期から実行・維持期に向上した群(運動習慣再開群),実行・維持期が継続した群より有意に高値であることが示された。 研究期間全体を通じ得られた所見では,研究1および2からは在宅障害者自身が12週間のストレッチなどを含めたセルフケアを実施することで,足部柔軟性が向上することが示された。ただし,足部柔軟性の向上に伴う足趾把持力の向上は認められなかった。また,研究3である転倒に関する1年間の前向き研究からは,足趾把持力維持・向上群と低下群に分類し,前向きで転倒における有無を1年間追跡したものの,転倒発生率において両群で有意な差が認められなかった。研究4である運動行動変容に影響する因子を明らかにする研究からは,GDS-5が高値である(抑うつ状態)人はGDS-5が低値である人と比較すると運動の再開や継続がされないことが示された。
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