研究課題/領域番号 |
20K19248
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
安田 真美 常葉大学, 健康科学部, 教授 (50336715)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 認知症 / 回復期リハビリテーション / 自宅退院支援 / 多職種連携 |
研究実績の概要 |
多職種(看護職、介護職、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、相談員)へのフォーカス・グループ・インタビューと、回復期リハビリテーション病棟に入院・治療を受け退院した患者の「FIM:Functional Independence Mesere」、「MMSE:Mini-Mental-State-Examination」の変化をもととに、退院支援について看護職と意見交換を行った。ADLの改善や認知機能の向上が認められても自宅退院が難しい場合が多々あること、そのような場合自宅退院への支援ではなく、施設転院への支援、希望と違った方向に進むことへの患者本人への支援が必要となってくることなどが挙げられた。認知症を有している場合、ADLが向上しても自宅退院が困難な場合があり、それまでの家族関係や経済的は背景など総合的に考慮して家族の希望も把握しながら多職種で支援の方向性を検討していく必要性が示唆された。 FIMとMMSEの点数を入院時と退院時で比較した場合、認知症を有している場合も、認知症がない場合も有意に上昇していることが明らかになった。しかし、「認知症有群」と「認知症なし群」との比較では、認知症なし群の方がFIM、MMSEとも入院時、退院時両方にて有意に高い結果となった。認知症を有しているということは、入院時と比較して退院時にはFIM、MMSEともに有意に上昇はするが、入院時のFIM/MMSEの値自体が低いことも自宅退院を難しくしていることの要因の1つであると考える。 今年度はFIM、MMSEが改善しても自宅退院が困難な認知症患者への多職種を対象としたフォーカス・グループ・インタビューが実施できずに看護職との検討のみとなってしまった。次年度は自宅退院支援とともに効果的なアプローチ時期についてもインタビューにて明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究協力の回復期リハビリテーション病棟施設にて、入院患者・職員に新型コロナウイルスが蔓延し、2023年8月に予定していた多職種へのフォーカス・グループ・インタビュ-が中止となった。2023年12月に再度実施しようと試みたが、その際も新型コロナウイルス感染症の蔓延と重なり職員がインタビューに対応できる時間がないとのことで実現できなかった。 フォーカス・グループ・インタビュ-にて、認知症を有しているとADLや認知機能の向上が認められても自宅退院が難しい要因と多職種での支援内容・方法の抽出を予定していたが、それができなくなったため進捗が遅れてしまった。認知症の自宅退院支援アプローチには、多職種へのフォーカス・グループ・インタビュ-による認知症患者の自宅退院が困難な要因と対応・アプローチ方法の検討が欠かせない内容のため、次年度明らかにする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
フォーカス・グループ・インタビュ-にて、認知症を有しているとADLや認知機能の向上が認められても自宅退院が難しい要因と多職種での支援内容・方法を明らかにすることを予定している。具体的な多職種による支援アプローチを抽出する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力施設である回復期リハビリテーション病棟にて患者・職員に新型コロナウイルス感染症が蔓延し、多職種へのフォーカス・グループ・インタビュ-を実施することができなかった。それによって、旅費・宿泊費、テープ起こし、研究協力者金・書類整理等の人件費の使用がなくなったためである。また、認知症を有していると自宅退院が困難になる要因分析と自宅退院支援へのアプローチ内容と方法を抽出できなかったため、ジャーナル投稿、国際学会での発表ができず、投稿費用、英文校正費用、海外渡航費用の使用がなくなったためである。 次年度は研究協力施設である回復期リハビリテーション病棟での多職種フォーカス・グループ・インタビュ-を実施し、研究協力者金、ジャーナル投稿、海外の学術集会での発表に使用する予定である。
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