研究課題/領域番号 |
20K19252
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研究機関 | 天使大学 |
研究代表者 |
小島 有沙 天使大学, 看護栄養学部, 講師 (40736443)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スキンテア / 高齢者看護 / 介護老人保健施設 |
研究実績の概要 |
スキン-テアは摩擦・ずれによって生じる皮膚損傷(部分層創傷)であり、主に高齢者の四肢に発生する。本研究は、介護老人保健施設で勤務する看護職・介護職が認識するスキン-テア発生状況について明らかにすること、およびそこから示唆を得て、介護老人保健施設における効果的なスキン-テア予防を構築することを目的としている。2021年度は以下の段階まで研究を実施している。 【Phase1】 介護老人保健施設に勤務する看護師・介護士へのインタビュー(2019年度実施)の結果を2020年度に分析し、①高齢者の活動を拡大していくための日常生活援助においてこそスキン-テアが発生しやすいという「生活の場である介護老人保健施設の特徴」、②認知症高齢者独自の発生要因、③施設設備や人員配置などの「環境要因」、④援助者および高齢者自身が発生時に気付かないという状況が「発生状況不明な事例の要因」となっていることを明らかにした。結果について、2021年7月に9th Asia Pacific Enterostomal Therapy Nurse Association Conferenceにて発表した。 【Phase2】 Phase1の結果から調査票を作成したが、緊急事態宣言の発令により調査時期が下半期に移行し、2021年10月~2022年3月にかけてアンケート調査を実施した。札幌市内の介護老人保健施設48施設のうち13施設の協力が得られ、275名から回答が得られた。2022年3月で集計まで完了した。2022年度は分析を行い、2023年度の介入研究に向けた検討を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度ではアンケート調査の分析まで行っている予定であったが、複数回にわたる新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言のため調査を行える時期が下半期になってしまった。しかし、2021年度内にアンケート調査が終了し、コロナ禍で介護老人保健施設が大変な状況ではあったもののサンプルサイズを十分に満たす回答を得る事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度:【Phase2】回収したアンケート結果の分析を行い、考察を行う。また、現時点までの研究結果(介護老人保健施設に勤務する看護師・介護士へのインタビューおよび質問紙調査)の論文化を行う。 介護老人保健施設におけるスキン-テア予防策の構築への協力施設の選定を行う。研究結果から介護老人保健施設における対策の検討を行い、専門家である皮膚・排泄ケア認定看護師の助言を得ながら、協力施設で実施可能な方法について看護管理者と検討してスキン-テアの予防策を構築する。 2023年度:【Phase3】上半期に構築した予防策を協力施設1施設においてパイロットスタディを行う。その結果から修正した予防策を協力施設1施設において実施し、介入前後の効果を検証する。 【研究を遂行する上での課題】 本研究は介護老人保健施設において介入研究を行う予定である。しかし、2021年度の段階では本学学部生の看護学実習も行えていない状況である。現在、ワクチン接種が進み、対策の緩和が検討されてきているが、高齢者施設においてどの程度受け入れが可能かは現時点で不明な状況である。その場合には、実施する予防策の焦点を絞り、研究者が短時間で介入できる方法や、動画等を活用した教育プログラムなど協力施設の受け入れに対する抵抗が少なくなるような実施可能な方法を検討していく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年からの新型コロナウイルス感染症による影響にて研究計画に大きな遅延が生じている。また、学会がweb開催やハイブリッド開催になったことにより、当初予定していた旅費が不要となった。 2021年度はアンケート結果をもとに、介入研究のパイロットスタディを行う予定であったため謝金や人件費、物品費を計上していたが、2022年度以降に持ち越しとなった。2022年度はアンケート結果の分析および成果の発表として論文化を行い、投稿の際の経費およびパイロットスタディの準備に助成金を使用する予定である。
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