研究課題/領域番号 |
20K19256
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
上條 史記 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (80812726)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 手洗い / モーションセンサ / ATP / 加速度波形 / 理想動作 / WHO |
研究実績の概要 |
2020年度は効率的かつ効果的な手洗い法の理想動作を提案するため、データ測定方法の再検討と予備的なデータ解析を行った。 手洗い法の先行研究では、紫外線や培養法、ATP法による清浄度の研究はあるが、動きに関するものはなく、運動学的な評価が必要であると考えた。 まず、予備的な知見を得るために、WHO標準法の手洗い全12工程を連続して行い、モーションセンサから運動学的なデータ測定と動画撮影を行った。ATP値の判定で有効例と無効例を2群に分け、加速度を研究協力者と作成したスクリプトを基に、現波形・高域波形・低域波形・角度・高速フーリエ変換・スペクトログラム等の抽出を行った。抽出したデータの比較を行った結果、手洗いを行う上でのパワーの違いは確認できたが、明確な工程ごとのパワー比較を行うためには、連続波形では難しいことがわかった。測定方法の改善を行い、工程ごとに加速度波形を抽出することが可能となった。結果、工程ごとに有効例と無効例を比較するとパワー比率に違い生じていることが確認できた。パワー比率に特徴がある工程を代表点とし、データ分析することが理想動作の提案を必要するうえで必要であると確認できた。2020年度は新型コロナウイルスの影響もありデータ測定に遅れが生じているが、2021年度はデータ測定を重ねることで加速度波形から得られる工程ごとの代表点に着目し解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、手洗い法の理想動作検討のためのデータ測定方法の再検討とデータ解析を目的とした。被験者にWHO標準法で手洗いを行ってもらいデータ測定を行った。その結果手洗いの加速度波形から、有効例と無効例の違いを確認することが出来た。しかし、緊急事態宣言やその後コロナ禍で、データ測定が進まず目標よりも少ないデータ数となってしまい、理想動作の検討までには至らなかった。 2021年度は、データ数を増やし、加速度から得られる波形を多数の解析方法で行いより詳細なデータ解析と学習効果について進めていく予定でる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2020年確立したデータ測定方法と解析用プログラミングコードを用いてデータ測定を進める。得られたデータをATP値により有効群と無効群に分け、加速度の高域・低域・FFT波形、角度、スペクトルグラム、周期、周波数を基に差が大きいデータを特徴量とする。そこから手洗い法の理想動作を検討する。データ量に伴い理想動作は修正していく。また、検討した理想動作を基に学習効果についても検討したいと考える。 学内のデータ測定は5~8月を予定し、臨床現場は医療機関と相談し随時進めていく。しかし緊急事態宣言等があることを想定し可能な範囲で迅速に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、データ測定が計画通りに進まず試薬の購入が少なかった。それに伴い学会発表の参加費・旅費を計上していたが使用できなかった。またデータ解析用のMatLabの費用も本学でライセンス契約が結ばれたため、購入する必要がなくなった。2021年度はデータ測定を再開しデータ数を積み上げて、学会発表、論文投稿に尽力していきたいと考える。2021年度は繰り越された費用とともに、被験者増加に伴う測定器、試薬の購入、測定データ解析用の統計解析ソフトウェアの購入、被験者・研究協力者への謝金の支払いを行っていく。
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