研究課題/領域番号 |
20K19256
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
上條 史記 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (80812726)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 超音波洗浄 / 加速度センサ / Electromyography / Fast Fourier Transform / LowPassFilter / 姿勢 / WHO / Adenosine triphosphate |
研究実績の概要 |
2022年度は超音波洗浄による手洗い前のATP値の規格化と、手洗い中の擦過力の評価を行った。2021年度で加速度のパワー比率の大小と除去率は大きく関係しないこと、除去率が大きくても事前のATP値が高いと合格できなことが確認できた。2022度は、手洗い前のATPを規格化するため、超音波洗浄機を使用し予備洗浄を行った。その後ATPが含有されているローションを塗布しATPの値を一定にし、加速度センサと掌に加わる擦過力を測定するため筋電図を使用し測定を行った。加速度センサから得られた波形を高速フーリエ変換(FFT)、 筋電図から得られた波形を正規化し、 それぞれのデータを除去率と組み合わせて評価を行った。手洗い前のATPの値を規格化することで、 約80%の対象者が合格することができた。また、前年度まで加速度波形では有効な結果が確認できなかったが、Y軸のFFT値のピーク値とATPの除去率に関係が確認できた。その他にも、低域通過フィルタを使用した加速度波形(姿勢値)では、WHO標準法の基本波形と動作が近いほど洗浄効果が高いことが確認できた。筋電図波形では、強い相関関係は確認できなかったが、掌に加える圧力が少ないほど洗浄効果が高いことが確認できた。以上の結果より、日常的にATP値が下がるように指導・教育するには、WHO標準法の推定される姿勢値を守ること、そしてY軸方向の動作に注力することが重要であると考えられる。 しかし、超音波洗浄機を使用して規格化をした際に、20%程度の被験者はATPが落ちにくく、ATPが付着しやすい傾向を示していた。ATP値と付着生菌量の関係を培養法との比較で検討する必要があると考える。また、姿勢値から有効な結果が得られたので、手洗い動画から骨格検出を行い、姿勢値と骨格検出から得られるデータとの評価を行い、リアルタイム評価が可能であるかを検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の研究進捗はおおむね計画通りに進展している。2022年度の目標である、論文の投稿は出来なかったものの、2021年度で得られた仮説から、明確な手洗いの理想動作の知見が得られたためである。また、研究成果の一部を国内の学会で研究報告を行った。現在、国外の学会誌に論文投稿の準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、培養法との比較と姿勢値に着目し研究を進めていく。付着生菌量の関係をATP法と培養法との比較で検討を進め、ATPが落ちにくく、ATPが付着しやすい傾向を示す場合の教育・指導を明らかにしていく。また姿勢値から有効な結果が得られたので、手洗い時の動画から、マーカーレスで骨格検出が可能なソフトウェアを使用し、任意の値を抽出し姿勢値との評価を行い、リアルタイムで手洗いの評価、フィードバックが可能であるかを検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、国外への論文投稿を予定していたが有効的な研究結果が得られるまでに時間を要してしまい、本年度は投稿が行えなかった。その為、英文校正費、学会誌掲載費に未使用額が生じた。2023年度は、研究を進めつつ国外への論文投稿の準備を行い、原著論文での採択を目指す。2023年度の助成金使用目的としては、英文投稿のための英文校正費と学会誌掲載費を予定している。IEEEへの投稿を目指すが、難しい場合はABE等の医工学系の学会を検討する。
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