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2020 年度 実施状況報告書

罪に問われた人の健康に目を向けた行動変容を促す社会復帰支援プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K19259
研究機関岐阜保健大学

研究代表者

中谷 こずえ  岐阜保健大学, 看護学部, 講師 (30738737)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード受刑者 / 健康維持増進講座 / 通信教育 / 口腔ケア / 笑み筋体操 / 感染症対策
研究実績の概要

N刑務所での対面における健康維持増進ケアモデルの実施は、新型コロナ感染拡大に伴い、延期されることはあったが、1年間に2クール(毎週1回1時間 2グループを4回)合計8回訪問した。健康維持増進ケアモデルの内容として、第1回目には呼吸法・笑み筋体操、第2回目は口腔ケア、第3回目は腰痛体操、第4回目は感染症に関することと手洗い方法で構成した。いずれも1時間の講座であり、講義・演習の方式を取り体験から学んでもらった。研究参加者である受刑者の内訳は、男性19名、女性38名の合計57名である。講座の受講の満足度は高く、8割以上が大変満足・満足していると回答していた。なお、アンケート調査だけでなく、講義修了時の質疑応答の場面でも、男性・女性受刑者ともに、積極的に質問が出されていた。例えば、「歯周病になったら一生治らないのか」、「歯間ブラシやフロスは施設内での使用が認められていないが、実際は使用した方が良いのか」、「手洗い終了後に蛇口を触れるがこれは不潔に値するのではないか」など、実際の生活の中で、疑問に感じ、講座を受講したことで、気がついた点でもあるととらえることができる。通信教育講座は、6月~実施し141名の受講者が4回の課題提出と1ヶ月後の自己評価を行っている。
ケアモデル実施前・後の口腔に関して有意差のあった項目は以下の3点であった。1.「歯間への食べ物の詰まりやすさ」2.「硬い物の噛みにくさ」3.「朝起きた時の口の中のねばつき」がケアモデルにより改善されていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

受刑者への健康維持増進ケアモデルのプレテストを実施し、実際にN刑務所で実施でき、その評価まで出すことができた。さらには、通信教育講座も軌道にのせることができ、現在141名の受講者が学び、課題を随時提出している状況である。現在介入は、1箇所のみの刑務所であることから、全国の刑務所に発信しているところである。しかしながら、新型コロナ感染拡大に伴い、外部からの受け入れが厳しい現状があり、収束時期を待っている状況である。N刑務所とは1年ごとに研究の契約を交わしておりスムーズに研究を行うことができている。健康維持増進ケアモデルの有効性を検証しながら、全国の刑務所に赴き講座実施の可能性を広げていきたいと考えている。
今年度において学会発表は、国内1箇所行い、学術誌採択は、ケアモデルの前身となった男性受刑者の健康実態と意識調査に関する1本である。

今後の研究の推進方策

最終目標として、最終全国の刑務所において、入所時研修会の1つの項目に取り上げて貰えるようにしたい。また、健康講座が実施できるように来年度以降は、T刑務所でも実施できるように交渉している。さらに、法務省への発信も少しずつ行っていけるように全国の管区長に向けて最終年度は積極的に面談していく予定である。今回の活動が実を結んで次のステップへの架け橋となるように進めている。
今年度は、新型コロナ禍であることからも講座のあり方や、刑務所における感染症対策も、隔離をせざるを得ない状況にも及んでいた。しかしながら、施設の性質上、事前の情報や現在の状況に関する情報は受刑者には行き届かないことによる、不安感もあらわに示すケースも多かった。そのため、外部から矯正施設の風通しも改善できるように、声を発信していく必要性を感じている。そのため、健康維持増進ケアモデルを通して、次のステップへと繋ぐように、現在、受刑者の健康相談窓口を独自に開設するしくみを弁護士やNPO法人を通じて検討している段階である。今後は、健康維持増進ケアモデルだけではなく、受刑者の健康に関する相談を受け、施設の中においてもできる健康行動を伝えていくシステムを構築していきたいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 矯正施設で生活する受刑者への健康維持増進ケアモデルの有効性2020

    • 著者名/発表者名
      中谷こずえ、五十嵐弘志
    • 学会等名
      日本犯罪社会学会

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公開日: 2021-12-27  

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