研究課題/領域番号 |
20K19262
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
川崎 絵里香 関西医科大学, 看護学部, 助教 (40580543)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | セルフマネジメント / ICT / 精神障害者 / 地域 |
研究実績の概要 |
精神障害者の地域移行が推進された結果、精神科の平均在院日数は大幅に短縮している。一方、退院後の再入院率は、退院後3か月で約23%、6か月で約30%と退院後、早期の再入院が課題となっている。精神疾患患者の再入院の要因として、「服薬中断」「ストレス」「不眠」等のセルフマネジメントに関連するものがある。これまで病棟で行われてきた治療や生活のマネジメントに関する支援が、入院期間が減少した結果、患者自らが継続する必要が出てきたと言える。しかし、脆弱な自我機能や認知機能障害によって、精神疾患患者が自らの力のみでセルフマネジメントを継続して行っていくことは容易ではない。そこで、地域でセルフマネジメント支援を継続できる支援ツールを検討することは、再入院予防のために重要であると考えた。加えて、地域という医療者がタイムリーに対象者の側で支援することが困難な状況を考え、対象者を遠隔で支援する方策のひとつとして、I C Tを媒介としてセルフマネジメント支援ツールの作成と活用有効性の検討を行うことを目的とする。 令和2年度は、精神障害者の生活の支援に必要とされるセルフマネジメント支援の内容や地域での生活を継続するための支援の方策の検討を行うために文献調査を中心に行なった。 セルフケアを障害する要因として、再入院の要因ともなる服薬、ストレス、不眠がある。これらを支援する方策として、服薬状況や、睡眠状況、時々の気持ちの変化を記載して、対象者自身が自身の状況を把握できるツール、服薬状況等に関して、定期的なアドバイスを行えるような支援、気分障害患者を対象とした思考や抑うつ気分を改善することでセルフケアを維持するための支援方法が行われていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地域でのセルフケア支援に関する支援内容について地域で生活する患者や支援者へのインタビュー調査で明らかにする予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で、対象者への面接が困難な状況となったため、研究の進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、気分障害の患者を対象として、令和2年度の文献調査で明らかになったセルフケア支援内容をもとに、支援ツールの作成を行った後、地域で生活する対象者や支援者へ試用してもらい、支援ツールの修正を行う。当事者の意見を取り入れたツールを作成する予定であるが、令和3年度も対面での面接が困難な状況が想定されるため、web会議ツール等のICT技術を活用しながら、インタビュー調査を実施していく。 支援ツールが完成後、実際に活用、データ収集(自身のセルフケアについての認識、セルフケア能力、QOL、身体活動、気分等)を行い、セルフケア支援ツールの活用可能性について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究対象者への対面調査、学会等への出張を予定していたが、出張が中止になったため、次年度使用分が発生した。 令和3年度は、遠隔でのインタビュー調査、学会発表等に参加するための準備を行うために使用する予定である。
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