研究課題/領域番号 |
20K19262
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
川崎 絵里香 関西医科大学, 看護学部, 助教 (40580543)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | セルフマネジメント / ICT / ポジティブ心理学 / 精神疾患 |
研究実績の概要 |
精神障害者の地域移行が進んでいる。一方、再入院率は、退院後3か月で約23%、6か月で約30%と、退院後、早期の再入院が課題である。精神疾患患者の再入院の要因として、「ストレス」「不眠」等のセルフマネジメントに関連するものがある。 その中でも、うつ病を含む気分障害は2017年に127万人と、全体の32%と最も多くなっている。うつが影響する社会的損失は2.7兆円に上る等、社会的損失も大きく、うつ病の治療・予防は、重要な健康課題である。 うつ病の心理社会的治療は、認知行動療法(CBT)が主流で行われており、そのエビデンスも確立されている。一方で、うつ病の再発率は85%であるとされ、CBTを行った場合でも、33.4%であると報告されており、再発の可能性が高いことが問題である。CBTは、ヒトの脳神経システムの負の感情システムへ主に介入しており、偏った解釈と機能不全の自動思考を修正することに焦点を当てている。 一方で、近年、強みやポジティブな経験に焦点を当てるポジティブ心理学的介入(PPI)が活用され始めた。PPIは、「自分自身の可能性による理想の実現」を軸にした思考であり、生きがいや仕事のやりがい・充実感を得るために何が出来るかに焦点を当て、well-being(良い人生)を促進するために肯定的感情を刺激する介入である。海外では、well-beingの向上といった精神面への影響、が確認されている。しかし、国内ではPPIを活用した研究がほとんど見つけられず、PPIの一部を実施し、実践報告を行っている文献が散見される程度であった。 そこで、本研究では、うつ病患者の精神的健康に関するセルフマネジメントにポジティブな側面に介入することでwell-being、肯定的な心理に介入し、抑うつ傾向の改善を期待し、コロナ禍の影響で対面が敬遠される中で、スマートフォンアプリを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で対象者となるうつ病患者との接触が困難である状況であること、 スマートフォンアプリの作成委託業者の選定に時間を要したことで、研究の進行がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、スマートフォンアプリを作成中であり、令和4年度前半に完成予定である。 気分障害の患者に対する介入については、精神・心療内科のクリニック、診療所に依頼を行い、協力を得て、アプリ完成後に対象者の募集を行い、令和4年度は介入を実施していく。 今後も対面での面接が困難な状況が想定されるため、専門家同士の意見交換だけでなく、対象者への説明、介入もアプリを活用し、直接的な接触を減らして進行していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アプリ作成業者の選定の遅延により、アプリの作成が遅れたことで、対象者の選定も遅れたことで、アプリ作成および研究対象者の謝金の支払いが遅れたためである。 既にアプリを作成中であり、令和4年度にアプリ作成、対象者への謝金に使用予定である。
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