研究課題/領域番号 |
20K19276
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
杉本 幸子 福島県立医科大学, 看護学部, 助教 (20814552)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 看護業務 / 薬局 / 地域包括ケアシステム / 地域保健医療サービス / 看護師ー薬剤師連携 |
研究実績の概要 |
本研究では、看護役割効果モデルを用いて、薬局で看護活動をするファーマシー・ナースの役割とその有用性、問題点を検証する。超高齢社会に直面する日本において、看護職の役割拡大と活動の場の多様化が進んでいる。一方で訪問看護ステーションが充足せず、在宅療養支援を充分に実施できているとは言いがたい。これを解決するにあたり、全国に6万件ある薬局で、看護職が活動する「ファーマシー・ナース」が有効ではないかと考えた。特に、①地域で療養生活を送る患者本人やそれを支える家族が身近に相談できる職種であるか、②健康に不安のある地域住民に対し地域包括ケアシステムに繋がるファーストアクセス機能を担う役割として有用であるかを明らかにすることで、超高齢社会を見据えた地域包括ケアシステムを発展させるために有用な基盤的知見を確立する。
2020年度は「ファーマシー・ナース」の介入のアウトカム評価として、医療経済評価の観点からも、薬局利用者への満足度調査の方法が妥当であるかを再検討し、より適切な研究計画とした。また、地域での活動においては、その地域の薬剤師会だけでなく、地域で診療活動を行っている医師および介護相談窓口となっている自治体および地域包括支援センター等関係各所の理解が必要と考え、研究の目的と概要について周知を行っている。 その他、薬局で活動するにあたり、地域包括ケアシステムを推進するための方策や、薬剤師と看護職のより良い連携、プライマリ・ケアにおける看護職の役割やタスクシフティングについて広く考察する必要があるため、文献検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年の年明けから、薬局で活動をするために、バイタルサイン測定機器や衛生材料(マスク、手指消毒剤など)を購入予定としていたが、新型コロナウィルス感染症の影響により、非接触型体温計やパルスオキシメーターだけでなく、衛生材料を購入することも困難な状況となった。また、対面での活動に制約が生じる状況となったこと、さらには、ワクチンの接種が開始となり、薬剤師会にも支援が要請され、2020年度中の研究協力を得ることが難しい状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
活動予定地域の薬剤師会から研究協力への理解が得られたため、適宜、研究協力への内諾が得られている薬局に対し、個別に研究協力依頼を実施する。薬局での活動に際し、十分な感染予防対策を講じるため、研究協力施設である薬局と入念な打合せを実施する。 当初の研究計画からの変更点として、薬局利用者への満足度調査は、「ファーマシー・ナース」の介入を受けた人のみを対象としていたが、バイアスが生じる可能性を否定できないため、活動している時間帯に薬局を訪れる人全てを対象とし、直接「ファーマシー・ナース」による健康チェック等の介入を受けたか否かに関わらず、来局者へのニーズ及び満足度調査を実施することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、バイタルサイン測定機器や衛生材料など購入が困難であった。また、それにより実際の研究活動が困難となり、謝礼や会議費、旅費も発生しなかった。 研究計画が遅れているが、2021年度はワクチン接種状況により、薬局での活動が実施できる予定となっているため、研究の進捗に合わせて使用していく。
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